第26話 ファラオの聖域!ピラミッドへの招待
「超古代の遺産」が、ピラミッドと繋がっている可能性がある。
隼人の仮説は、「知の館」に激震をもたらした。
セシャト様は、隼人の言葉に深い衝撃を受けながらも、彼の科学的考察の鋭さに改めて感銘を受けていた。
「ピラミッドが…装置…まさか、そんなことが…」
セシャト様は、信仰と理性の間で揺れ動いていた。
しかし、隼人が提示する、遺産の「波動」と、ピラミッドが持つ計り知れない「力」の関連性には、否定できない真実味があった。
ネフェルもまた、その話に強く引き込まれていた。
彼の魔法使いとしての直感が、隼人の仮説に、ある種の共鳴を感じ取っていたのだ。
ピラミッドは、魔法使いにとっても特別な場所だ。
そこには、計り知れない魔力が眠っていると信じられてきた。
もし、それが魔力ではなく、「テクノロジー」の力だとしたら?
隼人は、「超古代の遺産」の解析結果と、ピラミッドとの関連性に関する仮説を、アハメス総司令官に報告した。
アハメス総司令官は、そのあまりに壮大な仮説に、最初は言葉を失った。
だが、隼人が魔物の脅威を解決し、壁をすり抜ける怪異の謎を暴いた実績が、彼の言葉に重みを与えていた。
「ピラミッドが…装置…だと?そのような不敬な…」
彼はそう呟きながらも、すぐにこの情報がファラオに伝わることを悟った。
そして、その報告は、ファラオを驚かせたが、同時に深い関心を抱かせた。
数日後。
隼人の元に、ファラオからの召喚が再び届いた。
今度は、ピラミッドでの謁見だ。
「ハヤト様!ピラミッドっスか!?」
ケプリは興奮のあまり、目を輝かせた。
ピラミッドは、彼らにとって、神聖で、特別な場所だ。
一般の者が立ち入ることは、滅多に許されない。
王宮の豪華な馬車に乗り、隼人、ケプリ、セシャト様、そしてネフェルは、ピラミッドへと向かった。
王都の喧騒を抜け、馬車は砂漠へと続く広大な道を走る。
遠くに見える巨大なピラミッドが、近づくにつれて、その圧倒的な威容を現していく。
その巨大な塊は、遥か昔の、想像を絶する技術によって築かれたものだ。
隼人は、そのピラミッドの前に立つと、まるで時間が止まったかのような感覚に陥った。
この巨大な建造物の内部に、もしかしたら、自分の故郷へと繋がる、失われたテクノロジーが眠っているかもしれない。
ピラミッドの入り口は、普段は固く閉じられている。
だが、ファラオの命により、特別な衛兵が隼人たちを待ち構えていた。
衛兵に導かれ、隼人たちはピラミッドの内部へと足を踏み入れた。
中は、ひんやりとして、空気が重い。
松明の明かりが、壁に刻まれた象形文字を不気味に照らし出す。
狭い通路を抜けると、やがて、広大な空間に出た。
そこは、王が眠る墓室とは違う、まるで儀式を行うための神殿のような場所だった。
中央には、巨大な石の台座があり、その上に、ファラオが静かに座っていた。
周囲には、高位の神官たちと、王宮魔術師たちが控えている。
ネフェルの師らしき、さらに老齢で強力な魔力を纏った魔法使いの姿もあった。
「よく来たな、賢者ハヤトよ」
ファラオの声が、空間に響き渡った。
「そなたの仮説…ピラミッドが『装置』であるという話…聞かせてもらおう」
ファラオの目は、隼人をまっすぐに見つめている。
その視線には、期待と、そして、もし隼人の言葉が真実でなければ容赦しない、という静かな圧力が含まれていた。
隼人は、セシャト様の助けを借りながら、ファラオに「超古代の遺産」の解析結果と、ピラミッドがその「巨大な装置」の一部であるという仮説を説明した。
王宮の魔法使いや神官たちは、隼人の言葉に驚愕の表情を見せる。
彼らにとって、ピラミッドは神聖な信仰の対象であり、科学などという概念で語られるべきものではなかったからだ。
「それは冒涜だ!ピラミッドは、神と王の栄光を象徴するもの…装置などではない!」
高位の神官の一人が、怒りの声を上げた。
だが、ファラオは静かに手で制した。
「セシャトよ、そなたも、この若者の仮説を信じるのか?」
「陛下…彼の『カガク』は、我々の知る理を超えたものです。しかし、彼の言葉は、常に真実を導き出してきました。このピラミッドの謎を解き明かす、唯一の道かもしれません」
セシャト様は、隼人を信じる言葉を述べた。
ファラオは、再び隼人を見つめた。
そして、ネフェルの方を見た。
「ネフェルよ。そなたも、この若者と共に、地下迷宮の怪異に立ち向かったと聞く。そなたの目には、この若者の『カガク』はどのように映ったのだ?」
ネフェルは、一瞬ためらった。
尊敬する師や神官たちの視線が、彼に突き刺さる。
だが、彼は、地下で隼人の「カガク」が示した奇跡を、この目で確かに見ていた。
ネフェルは、一歩前に進み出た。
「陛下…彼の『カガク』は…魔法とは違います。しかし…確かに魔物を怯ませ…そして…」
ネフェルは、地下での共闘の様子を、率直に語った。
彼の言葉は、魔法使いとしてのプライドを捨て、真実を語る、偽りのないものだった。
ファラオは、ネフェルの報告を満足げに聞いた。
そして、その玉座から立ち上がり、ゆっくりと、ピラミッドの壁に描かれた古代の絵へと歩み寄った。
「ならば…賢者ハヤトよ。そなたの『カガク』とやらで、このピラミッドの真の謎を、解き明かしてみせよ」
ファラオの言葉は、この神聖なる聖域で、隼人に課された新たな使命だった。
ピラミッドに隠された、遥かなる過去の真実。
そして、もしかしたら、隼人が故郷に帰るための、唯一の手がかり。
王都の象徴であるピラミッドを舞台とした探求が、今、始まる。
熱砂のブレイン!~知識チートで砂漠に楽園を築こう!~ シマセイ @seiei08
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