第8話 クレパス機関

 玉座の間を満たす重い静寂の中、幼き皇帝ポポは淡い微笑を浮かべる。

 彼の隣には、ニャーニャが静かに控えていた。

 「クレパス機関。今日から、帝国の裏方を担え」 その短い宣言を受け、六人の魔神が一斉に視線を上げる。

 ゲーム内ではゲームストーリーのラスボスとして登場して六大魔神と呼ばれていた存在だ。

 他に適当な知性のある魔物も思いつかなかった。

 『クレパス』は色分けして分かりやすくしたかったからで、『機関』はカッコよさそうだったからの命名だ。



 黒のノワール。漆黒のロングコートを纏う青年の吸血鬼。

 細身の長い黒髪を背に落とし、革の手袋に隠しダガーを仕込んでいる。

 「この暗闇の中にあっても、陛下の信頼を光とします。任命、心より感謝いたします」

 その声はやがて闇へと溶け込んだ。


 赤のヴォルカン。雄々しい竜人の戦士。

 深紅のプレートアーマーに身を包み、腰には同系色の重戦斧をぶら下げている。

 彼は大きく頷き――

 「この斧と共に、陛下に忠誠を誓います。任命の栄誉、深く感謝申し上げます」


 紫のモルティア。幼女の姿の死神。

 紫と黒を基調としたゴシックワンピースを纏い、大きな大鎌を背に担いでいる。

 透き通る瞳に微笑をたたえ――

 「選んでいただき、ありがとうございます。慈しみを忘れず、魂を刈り取ります」


 白のアリュシア。冷徹として知られる女性のアラクネ。

 真白のローブに銀糸の蜘蛛巣模様を織り込み、弓を携えている。

 仮面の奥の瞳を瞬かせ――

 「この一矢一瞬に、陛下の意思を結びつけます。御任命、光栄に存じます」


 青のレグルス・ゴルド。誠実を重んじる獅子の獣人将軍。

 深藍のケープに金糸で紋章を描き、実用的な鋼鉄胸当ての上からは力強さがにじみ出る。

 胸の徽章に手を置き――

 「陛下の秩序を守る盾となることを誓います。任命に心より感謝いたします」


 緑のエルフェリシア。柔和な才女のドライアド。

 緑と黄緑の流動的ドレスに舞う花びらを従え、花蔓の鞭を優雅に掲げる。細やかな微笑みとともに――

 「民の心に花を咲かせ、計画を華麗に結実させます。御任命、誇りに思います」


 六つの視線が玉座の間を満たし、緊張と期待の入り混じった空気が張り詰めた。

 

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