第28話 いざ桜花の城事務所へ


「ふんふんふ~ん♪」


「リザさん楽しそうですね」


 エメラルドのように綺麗な腰まで伸びた長髪がぴょんぴょん跳ねる。リザさんがここまで楽しそうな姿を見せるのは久しぶりだ。


「ふふっ、だってお外の世界を皆で散歩するの初めてだもん」


 そう言ってくるっと回って腕を背中の後ろで組み、俺たちに向けて可愛らしい笑みを見せる。

 白のワンピースと共にひらひらと舞う姿はまるで天使の様に美しい。やはりリザさんの絹の様に白い肌にはワンピースは似合う。


「……ふふっ」

 

 俺と同じくらいの身長で姉みたいな存在のリザさんがまるで子供の様にはしゃぐ様子に思わず笑みがこぼれる。

 ここまで喜ばれるとこっちまで嬉しくなってしまう……これからは外を散歩してみるのもいいかもな……。


「ニャッ」


「ん~?ははっ、ハクも楽しいかそうかそうか。皆で来て良かったなぁ」


「ニャ~」


 頭の上でハクが元気よく鳴いた。今日はハクもなにやら機嫌が良い。やっぱり昨日から楽しみにしてたからだろうか、証拠に今日はまだ8時だというのにすでに5杯もじゅーすを飲んでいる。

 昨日の今日で飲みすぎじゃないか?おなかを壊さないか心配だ。……だが、まぁ……昨日ハクは頑張ったからな、止めるのはやめておこう。


「……リル、あと少しだけ我慢してくれな?建物に着いたら透明化解除していいからさ……はいこれじゅーす」


「バウ……」


 周りの人に聞こえないような声で隣を歩くリルにそっとじゅーすを渡す。リルはそれを口で受け取り、前足を器用に使って瓶のふたを開け、一瞬でゴクゴクとじゅーすを飲みほした。


 今日は休日の朝だから周りに人はたくさんいる。そんななか2m越えの大型犬が歩いていたら変に注目を集めてしまうかもしれない。

 ハクはリルほど大きくは成長することはなく、ペルシャ猫っぽい見た目をしているから問題ないのだが……。どうやらダンジョンでかわいいペットみたいな存在に出会うことは前例がないらしく、そんなリルを利用しようと悪い輩が狙ってくるかもしれない。


「バウッ」


「ん?もう一本ほしいのか?……仕方ないな、はいどうぞ」


 ……リルもこれでじゅーすは5杯目である。おなかを壊さないか心配だ。……だが、まぁ、我慢させてしまっているし、それに二匹ともダンジョンで出会った子達だし大丈夫だろう……。

 ふぅ、今日は念のためたくさんじゅーすを持ってきておいて良かった。



♢♢♢


「すごいな……」


 新宿の街の一角にひときわ目立つ豪華なビル。表口ではスーツを着てカメラを構えた沢山の人たちがしめじのように群がっていた。……これじゃあまともに入れなそうだ。

 なので俺たちはあらかじめ言われていたように裏口からその建物に入る。昨日ハルさんに『もし入るの難しそうだったら反対にある裏口から入ってきてください』と言われてその時は何のことかわからなかったのだが……なるほど、そういうことか。



 その建物に入った瞬間、俺たちの目に豪華なシャンデリアが映った。


「わぁ、ここがハクちゃんのお弟子さんがいる事務所なのね~!きっとすごい子なのね!」


 ハクを抱っこし、たかいたかーいをしているリザさんの目はキラキラしていた。それだけじゃない、リルやハクの目もキラキラしている。……そうか、皆人間社会に少しは慣れたと言ってもこんなに豪華な建物に入ったのは初めてだったな……。


「ニャッ!」


 ハクは今朝リルとリザさんに弟子が出来たことを嬉しそうに伝えていた。弟子を褒められたことがまるで自分のことの様に嬉しそうに鳴く。 

 ふふっ、やっぱり弟子が出来たことが相当嬉しかったらしい、腰に前足をあてて人間の様にドヤ顔する。……かわいっ。


「よし、じゃあ待ち合わせ場所に行くか」


「は~い♪」


「バウッ」


「ニャッ」


 ハルさんやひまわりさんとの待ち合わせ場所はこのビルの20階だ。俺たちはそこへ向かうためにエレベーターに乗る。……しかし、エレベーターまでも広いとは。俺達全員が乗ってもまだ半分くらいスペースが空いている。やっぱり都会はすごいなぁ……。


「あるじとリザよ、ひまわりたち前ではワシを甘やかすのはやめるのじゃぞ?……特にリザッ!」


 そういってハクはリザさんに指をさす。

 

「え~さみしいよぉ~」


 くぎを刺しているのだろうが、そんなことお構いなしと言わんばかりにリザさんはハクに抱き着く。


「は、はなれるのじゃあ!」


 ……あれ?いつのまに人化した?


 少なくともエレベーターに乗るまではちっちゃいヌッコだった……ということは今さっき人化したのか。

 人化したハクがリザさんと並んでいるのを見て俺はあることに気づく。……あれ?ハクってリザさんと同じくらいの身長なんだ。リザさんよりも言動が幼いから勝手に背も低いものだと勘違いしていた。


「なんじゃ?どうしたあるじよ」


「……いや、なんでもない」


 危ない、ついうっかり口に出すところだった……。ハクってなぜか大人っぽく振舞おうとするからな……まぁそれも可愛いし、なんなら大人っぽく振舞ってるつもりでも背伸びした子供にしか見えないところが死ぬほど可愛いんだが……。

 だから俺がそんなこと言ったら絶対機嫌悪くするだろうなぁ、それこそ3日は抱っこさせてもらえなくなる……ふぅ、危ない危ない。


「それにしてもどうしてハクちゃんは急に人化したの~?」


「決まっておるじゃろう、弟子の前ではかっこいい姿でいたいのじゃ」


「えへへなにそれかわいい~」


「こら!だから撫でるなって!」


リザさんはそんなハクの人化を見るのは久しぶりだからか、先ほどに増してよりべったりしている。


「ウチも抱き着く~!」


 そしてそれを見てリルもハクに勢いよく抱き着いた。


「うぉわぁああ」


 リルは自分が大型犬ってことをたまに忘れるときがあるからな……2mもあるイッヌに勢いよく抱き着かれたハクは流石に耐え切れずに後ろに倒れてしまった。


「まったく、リルは自分の大きさを自覚するのじゃ!」


「えへへごめーん」


 そういいながらもハクはまんざらでもない様子である。証拠に頭を押さえながらも笑顔を浮かべている。やっぱりみんな初めての都会にテンションが上がっている様子だ。そんなみんなを見てると俺まで幸せな気持ちになる。……やっぱりみんな笑顔でいることが一番だよな……!

 

 だからこそ、俺は今回の騒動を解決できるように最大限に協力しようと、そう思うのだった。


 

 

 

—————————————————————

あとがき


例えどんだけ強さの次元がインフレしても僕の中の最強はゴジータ4です圧倒的最強


良ければ❤️と⭐️をお願いします!モチベにつながります…!

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