第3話 奇妙なアパート事件Ⅱ

『でどういう状況なんだ』


椅子にどかっと座り、コーヒーを啜って偉そうにしてる松本に聞くのは癪だったが、もうこの際どうでもいい。


(だって、俺たちもう身内なんだろ、思いっきりあばれてやる)


勝手に入れられたかりはしっかり返すのが俺の流儀だ。


『まあ、そう怖い顔すんなって女の子が逃げちまうぞ。』


『その怖い顔させてるのはどこのどいつだ。ほんとにこのやろー』


いつでも殴りかかりそうな形相で睨みつけているトムを松本はまあまあと諌める。


『それで、アパート事件の詳しい資料だ。』


事件番号 6793 アパート事件 令和3年6月9日13時52分


被害者 身元不明(20歳前後と見られる)が自宅のアパートで何者かに刃物で刺され、死亡。

死亡発見時刻 6月9日13時52分

死亡推定時刻 6月3日15時頃


被害者情報

被害者の特徴 髪は金色で染められており、地毛は白。

アルビノの可能性あり。

年は20歳前後。

身長165センチ程度

体重45キロ前後

現在、都内の大学に情報提供の協力願い中。

胃のなかに大量の痛み止めを確認


死亡発見時の様子

ベットの上に仰向けで寝かされ、心臓の左心房のところに刃物が突き刺さり死亡

争った形跡なし。

部屋には2つのベッドと遺書と考えられる宛名不明の1通の手紙と被害者のものと思われるリュックのみ。


死亡第1発見者

同居者 磯島 南乃花 イソジマ ナノハ

24歳 女性 k大学卒業 IT関係

引っ越しするため、最低限のもののみしか部屋にはなかったらしい。

被害者とはネットで知り合った友達でお互い詮索しないのが約束で被害者のことは「土星」、被害者は彼女のことを「火星」と呼んでいた。

なぜかは話さなかった。


アパートのオーナー

尾崎 陽太 オザキ ヨウタ

47歳 男性 アパートの管理人

アパートを違法に運営していたことを自白。

アパート1部屋 6坪 月130万で運営

その後黙秘


『へえ、こりゃ久しぶりにどでかいのが来たなあ』

いつもならばニヤッと笑ってペンと紙、そして水晶玉を取り出すトムだったが、今回はなんだかずっと目の焦点があってないように見える。


『おい、大丈夫か』

流石に心配になって声をかけると、トムは目の焦点が合わないまま


『全員死ぬ』と呟いた

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変人おじさんは事件を解決する。 織田美香 @mikannohappa

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