第10話 永遠の冒険の始まり

 フィオーレの村は、春の終わりを告げる花祭りの準備で賑わっていた。

 広場には色とりどりの花のアーチが飾られ、屋台からハチミツ菓子の甘い香りが漂う。夕暮れが近づく空には、薄紅色の雲がゆったりと流れ、村人たちの笑顔が春の温もりを映す。


 マユは家の庭で、赤いポニーテールを揺らし、革鎧を脱いで花柄のチュニックを着て、木の枝に花冠を編んでいる。16歳の冒険者の笑顔は、まるで春の花のように輝いている。


「カレン! 花祭り、めっちゃ楽しみ! 花冠できたよ、ほら、カレンに似合うかな?」


 マユは編み上げた花冠を手に、庭のハーブ畑で薬草を摘むカレンに駆け寄る。17歳の薬師は、黒髪をゆるく編み込み、薄手のドレスにエプロンを重ね、穏やかな笑顔で振り返る。「マユ、かわいいね。うん、似合いそう」と言い、花冠をそっと頭に載せる。カレンの笑顔に、マユは「やった! カレン、めっちゃキレイ!」と手を叩く。


 二人は花祭りの準備を手伝うため、広場へ向かう。リコや他の子供たちが、花のアーチに飾る花束を運び、村人たちが屋台の準備に追われている。

 マユは「リコ! 花束、めっちゃいい匂い! 祭り、絶対最高になるね!」と笑い、リコは「マユさん、カレンさんのおかげで、今年はもっと楽しいよ!」と目を輝かせる。

 カレンは「みんなで作る祭りだからね」と微笑み、子供たちに花の飾り方を教える。


 花祭りは、フィオーレの村が春の恵みと新たな始まりを祝う特別な日だ。ギルドもこの日は休みで、冒険者たちは村人として祭りを楽しむ。

 マユとカレンは、市場で助けたリコたちや村の仲間たちと一緒に、広場の準備を進める。マユは花のアーチを飾りながら、「カレン、祭りってさ、冒険みたいだよね。みんなで何か作るの、ワクワクする!」と言う。カレンは「うん、マユの元気が、みんなを一つにしてるよ」と返す。


 夕方、祭りが始まると、広場は提灯の光と花の香りに包まれる。

 楽団が軽やかな音楽を奏で、村人たちが輪になって踊る。

 マユはカレンの手を引き、「カレン、ダンス! 絶対一緒に踊ろう!」と笑う。

 カレンは「もう、マユったら!」と照れつつ、輪に加わる。

 二人は手をつなぎ、くるくると回り、笑い合う。リコたちも輪に飛び込み、広場は笑顔と笑い声で溢れる。


 ダンスの後、村長が広場の中心で「花の儀式」を始める。

 村人たちは春の願いを込めた花を手に、広場の花壇に植える。マユはカレンと一緒に、白い花「ホープブロッサム」を選ぶ。「カレン、願い事、なんてする?」とマユが尋ねると、カレンは「マユとずっと一緒に、笑顔でいられること」と微笑む。マユは「え、めっちゃカレンらしい! 私も……カレンと一緒に、もっとすごい冒険すること!」と笑う。二人は花を植え、そっと土をかける。


 儀式の後、祭りのクライマックスとして、花火が打ち上げられる。

 夜空に赤や青、虹色の花が咲き、村人たちの歓声が響く。

 マユとカレンは川辺に座り、花火を見上げる。マユは「カレン、フィオーレに来てから、めっちゃいろんなことあったよね。ゴブリン退治、雪遊び、精霊との出会い…全部、カレンと一緒だったから、宝物みたい」と呟く。

 カレンはそっとマユの手を握り、「私も、マユと過ごした時間、全部大切な思い出だよ。どんな冒険も、マユの笑顔があったから特別だった」と囁く。

 マユは照れくさそうに「カレン、ほんとずるいよ。こんなこと言われたら、もっとカレンと一緒にいたくなるじゃん」と笑う。カレンは「いいよ。マユとなら、どんな未来も冒険だよ」と微笑む。


 花火が終わると、村人たちは家路につき、広場は静けさを取り戻す。マユとカレンは川辺を歩きながら、家へ戻る。春の夜風が心地よく、二人の手を温かく包む。マユは突然立ち止まり、「なあ、カレン。これからも、ずっと一緒に冒険しようね。どんな敵が来ても、どんな宝物見つけても、カレンと一緒なら、絶対楽しい!」と目を輝かせる。

 カレンは頷き、「うん、約束。マユのそばで、ずっと笑っていたい」と言う。二人は顔を見合わせ、くすくすと笑い合う。川の水面には星が映り、まるで二人の未来を祝福するように瞬く。


 家に戻ると、二人は暖炉の前でハーブティーを飲み、祭りの余韻に浸る。マユは「カレン、今日で一つの冒険が終わった気がするけど、明日から新しい冒険が始まるよね!」と拳を握る。カレンは「うん、マユと一緒なら、どんな冒険も楽しみ」と笑う。


 その夜、マユはベッドで花冠を手に、呟く。


「カレンと一緒なら、どんな日も冒険になる」


 隣の部屋のカレンも、ホープブロッサムの花びらを手に同じことを思う。フィオーレの春は、マユとカレンの絆を永遠の冒険へと導く。

 そして、二人の物語は、これからも笑顔と温もりで紡がれていく。

 フィオーレの村で、剣と魔法の日々は、いつも二人で輝き続けるだろう。

(終わり)

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花と剣の冒険譚 ~マユとカレンのフィオーレ日和~ 滝川 海老郎 @syuribox

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