かなり文章上手いです。
ドラム四人、ツッコミ入る状態での始まりですが、こりゃかなり面白い。
ちなみにBLやブロマンスとかではないです。
カラッとした友情や青春が感じられます。
ドラムばかりの個性豊かなメンバーの中で、主人公がしっかりリーダーとして認められる様は、読んでいて嬉しくなりますね。
尊敬されつつも仲間としての対等な関係も非常に爽やか。
音楽知識はトンとありませんが、そこらへんは抜きで楽しめます。
コンテスト通っても全く不思議ではないくらいの実力を感じています。
もちろん、人気ジャンルではないので大変だとは思いますが、青春ものが好きだという人は軒並み満足させるだけの力を持った物語です。
空気感を伝えられる高い技術の感じられる文章は、からりと澄んでいて、読んでいて気分が良いです。
エピソード11までの段階では、性格が悪い自覚のある私でも中々ケチをつけるのが難しいです。
始まりからしっかり読めば、技術的な高さを感じ取れると思います。丁寧に作られた作品です。
ここまで長々としたレビューを読んでいただけたなら、是非とも1話だけでも読んでみてください。
無料でこれくらいの文を読めるなら、お得でしかありません。
作者はかなり斜め上や斜め下から刺してくる方です。
そういう方がバンド物を書くわけです。長編で。
その結果がこれですよ。
いやぁ、もう完敗です、完敗。
設定勝ちでしょと言いたいところですが、描写力は確かなのでちゃんと話として面白く展開していくんですよね。なんでしょうこの破壊力。ジャンプとかで巻頭イケるやつですよ。
ドラム四人ですよ? 馬鹿なの? 馬鹿でしょ。
こんな設定で長編書こうとか、やりませんよ。凡俗なら。よくて短編です。
ところがどっこい、これでカクヨムコン長編参戦。
怖すぎません? 私だったら怖いです。
何が流行りとか、そんなものを全部蹴散らして、「これが面白いんだから読め」という圧を感じます。実際面白いんですよ。
そんな作者の自信と狂気と実力が織りなす音色は、読むだけで音圧を感じざるを得ません。ドラム四人なのに四人とも個性強すぎです。
これがものすごく小説が好きで、多読していて創造と想像の力に溢れる作者が出してくるものなのだと思うと、畏怖すら感じます。
エンタメ小説の神髄が、ここにあります!