八神くんのお気に入り
きよ
彼女のフリ
それは寒い2月のこと。
窓の外を見れば、枯れ葉が宙を舞っている。
今日は先生達の会議で午前中で授業が終わった。
私、
相方はちょうど休みで、誰もいない教室に1人日誌を書いている。
友達の
日誌が終わったら集めたノートを先生に渡して……。
って、先生会議中じゃない?渡せないじゃん。うぅ……最悪。明日渡そ。
書き終わった日誌とカバンを持ち教室を出た。
当たり前だけど誰もいない。
菫曰く、先生達は会議だから部活もないみたいだ。
静かだなぁ。ノートは明日に渡すとして、職員室入れるかな?
会議中だと入れなかったり……?
え、いや待って。
職員室に行くんだったらノートも持ってきた方がいいんじゃない??
先生の机に置いて帰ればいいんじゃないかな?
よし。
職員室に行くんだから持って行こう!
私はUターンをして教室に戻ってノートを取りに行った。
案の定、職員室は会議中でドアを開けた瞬間みんなに見られた。
私は持っていた日誌とノートを先生に渡してすぐに職員室から出て行く。
あのピリピリした空気、ムリ。
静かだったし怖い。
あーもう、こう言う時に日直なんてついてないなぁ。
ため息をつきたくなくても出てしまう。
思ったよりノートが重くて教室に置いてきたカバン。
私はそれを取りに再び教室に向かった。
カバンを肩にかけて静かな廊下を歩いてる時だった。
ガターン!!
廊下に響き渡る大きい音に、肩が飛び上がった。
え、何々!??
何、今の音!?
誰かいるの?
怖くて動けなくて身体が縮こまり、カバンの紐を握りしめる。
シーンと静まり返る廊下。
何だったの今の音??早く帰ろ。
どこから聞こえたかわからない音に恐怖を感じ、小走りに廊下を通る。
そんな時だった。
「あっ」
カバンにつけていたキーホルダーが小さい音を立てて落ちた。
え、嘘っ……
周りを見渡してもキーホルダーなんて物は無い。
どこに行ったの?
確かに落ちる音はした。
それにカバンからも消えている。
最悪〜。
リスがドングリを持った小さいキーホルダー。
可愛くてお気に入りだったのに……。もうやだぁ。
ついてなさ過ぎて涙が出てくる。
ふと視界に入った教室のドア。
少しだけ隙間がある。
もしかして教室に入った……とか??
周り見ても無いんだし、もうそこにしか当てが無い。
私のクラスじゃないのに、何のためらいもなくドアを開けた。
「あった!!」
やった!
やったやった!
嬉しくて飛び跳ねる私。
キーホルダーを拾って顔を上げると、とんでもない光景が目に入った。
八神くんのお気に入り きよ @kiiiiiyo
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