第23話 地雷のオンパレード

 こちらを撒いたと思っているであろう敵の後をつけ、やって来たのはダンジョンの5階層。しばらく追跡する内、敵の根城と思しき広場にまで辿り着いた。


「ボ、ボス! 緊急事態です! 敵が来ました!」


「敵だぁ? 冒険者か?」


「は、はい。それはそうなんですが……恐らく、国務代行官のエルフ、セシリのヤツも来てるかと!」


「……チッ、何の連絡もねえぞ。どうなってやがる」


 まだこっちには気が付いてないな。こんな声の響きやすい、だだっ広い空間でペラペラよく喋る。……しかし、その不用心さのおかげで気になる情報が出て来たな。

 連絡、ねぇ。やはり国の上層に協力者が居るってことでよさそうだな。セシリの存在を気にするってことは、よほど木っ端の仕業なのだろう。人員含め、管理をもっと厳重にお願いしたいところだが……まあ、昔と比べて国の規模も大きいし、こういう例が生まれてしまってもしょうがないか。


 ……色々と、話をお聞かせ願おうか。とりあえず、取り巻きにもう用は無い。


「他の連中はど」


「ガッ!?」


 俺は無言で魔法を発動し、取り巻きを制圧した。風の魔法を首に命中させ、的確に意識を刈り取る。


 さて、カミューと共に敵のボスと対面したわけだが……面白い顔してるな。予想外であろうとはいえ、そんなにビックリするか? 想定よりも大した敵ではなさそうだ。……こっちは昔の力を使ってまで、ここに来たんだ。後悔させないでくれよ。


「お、おい!! お前らぁ!!」


 ……敵は精いっぱいの声を張り上げたものの、その騒々しさと裏腹に、辺りは静寂に包まれている。大呼するも虚しく、敵の絶叫は無意味に終わった。

 敵は見るからに狼狽えている。味方がやって来ないことが信じられないといった感じだ。おいおい、そんな風にこっちを睨んでも仲間はやって来ないぞ。


「クソッ!! 逃げたら承知しねぇぞぉ!!!」


「うるさいなぁ。お仲間なら俺達が倒したぞ。……うん、周辺には誰も居ない。増援は諦めた方がいい」


「へ、へへ、ハッタリにしちゃ上出来だ。だが俺の仲間はそんなヤワじゃねぇ。……今日は2階層まで見張りをしてもらってたからな。その内、来るさ」


「へぇ、そりゃ楽しみだ。到着するまで待っとくか」


「……」


「……じゃあ、それまで話をしようか……協力者は誰だ? どこに居る。逃げたくてウズウズしてるみたいだが、火に焼かれたくないなら白状した方がいい」


 俺の言葉に、ゆっくり丁寧な速度で動いていた敵の足が止まる。

 ったく、余計に手間だけかけようとしやがって。


「なるほどな……お前がロイってやつか」


「? なぜ知ってる?」


「それは教えてやれねえが……聞いたぜ。将来有望な魔法使いらしいじゃねえか」


 ……情報が出回りすぎじゃない? めんどくせぇ……でも、そうか。国の関係者と繋がってるんだもんな。それくらいの情報は流れてるか。

 ということは、俺はわざわざ名指しで、何かリストのようなものに乗っていると。つくづくツイてないな。こっちはただ平穏な暮らしを目指してるだけなんですけど。


「しかし、こうなると噂以上だな。詠唱無しで魔法を使えるヤツなんざ聞いたことがねえ」


「俺の話で時間稼ぎか? 相手の興味を引くなら、もっと話題は考えた方がいいぞ」


「ま、待て! 分かった……内通者はレーン・ヴィルケスって奴で、確か、城の一階で事務をやってる人間だ」


 ……嘘は、ついていなさそうだな。心音は正常、汗のかき方も恐怖によるものだ。


 関係者は割れた。あと聞き出すべきは、火薬の出どころだ。


「よし、いいだろう。2つ目だ。火薬は、どこで製造方法を知った?」


「カ、カヤク……?」


「発火する粉のことだ」


「…………言えねぇ」


 急に口を閉じたな。命を惜しまないところ見るに、やはりテロが目的だったのだろう。……いや、だとしたら、なぜ内通者の名前を出したんだ? それも相手は事務をやってるただの人間。何者かは分からないが、目的がテロだとしたら、思想を共にする仲間を売るだろうか?

 なぜコイツは、内通者より火薬を気にする?


「お前、まだ何か隠してるな? そもそも目的はなんだ」


「へっ! 金に決まってんだろ?」


 明らかな虚偽。……だが、テロでもない。その可能性が浮上する。

 ……思えば、最初から違和感があった。どいつもこいつもボロ布を被ってたが、服装はバラバラだった。連携もお粗末で、不足の事態にアドリブが弱い。使っていたスキルもシーフ系統のものばかりで、正面から戦う気概を見せない。

 テロリストよりも、チンピラという言葉が似合うような集団だ。


「嘘はよくないなぁ。何を庇っている?」


「何も嘘なんかあるわけねぇ。死ぬのは御免だからな。……それより、そっちの嬢ちゃんにも何か喋らせたらどうだ?」


「っ」


 敵に目を付けられ、カミューは俺の影に隠れてしまった。……胸糞悪っ。


「お前、よくこの状況でそんな調子いいこと喋れるな」


「へへ、初めて見る顔でね。お仲間かい? ロイさんよぉ」


 そして唐突な煽り口調……舐められたもんだな。


「うおっ!?」


 敵の足元を取った。瞬時に湧き出た水が敵の下半身に浸り、バランスを崩させる。

 その一瞬の隙に距離を詰め、俺は相手に顔を近づけた。


「な、何の真似だ!? 大人しく話してたろうが!!」


「往生際が悪い。大方、俺を逆上させる算段だったんだろうが、見くびるなよ。頭にキたくらいで冷静さを欠くなら魔法使い失格だ。……で? 次はどうする? ブーツに仕込んであったご自慢の火薬は濡れ、使い物にならなくなったようだが。を続けるか? あ、その前に……」


「ぎィやァァア!!?」


 俺は捕った敵の腕をへし折った。


「な、なにしやがんだぁ!?」


「下手な真似をした罰だ。口の利き方には気を付けろよ」


「ふざけやがって……!! 何が会話だ!?」


「仕事なもんでね。お前は意識ある状態で生け捕りにしないといけないが……口さえ動くなら、何してもいいだろ?」


 額に脂汗を浮かべ、敵は俺を睨みつける。……うわ、目の焦点が合ってないな。腕を折ったのはやりすぎだったか……いや、それよりコイツの精神力が弱いってだけだろう。男の子なら片手が折れたぐらいで気絶すんな。


「クソ、ついてねぇ。いつもこうだ……!  どいつもこいつも、邪魔しやがってぇ……!!」


「今聞きたいのは負け惜しみじゃないんだけどなぁ……カミュー! 目と耳、塞いどけ! 今から拷問すっから!!」


「えぇ……わ、分かった」


 新手が来ても俺は反応できる。カミューに危険が及ぶこともない。

 さて……どの塩梅が丁度いいかな?


「!? た、頼む!! 痛めつけないでくれぇ!!」


「じゃあ火薬の出どころ吐けって。どうせお前が思い付いたんじゃないだろ? そんなタイプに見えないし。製造方法をどこで知った?」


「い、言えねぇよぉ!! ぅお、俺が死ぬよりひどい目にあっちまう!!」


 ……一応、本当の話っぽいな。死ぬよりひどい目って……なんだ? 呪いでも喰らってんのか? ……いや、どうせ脅されてるだけだろ。なんか典型的すぎて、つまんないな。

 しかし、これで関係者の存在が示唆されたな。こんなチンピラに火薬の製造方法を教えるとか何考えてんだ?


「クソッ、クソクソクソ!! 俺は復讐したかっただけなのにぃ!! あいつ……あいつのせいでぇ!!」


 こんな耳元で発狂すんなよ……爪いっとくか?

 いや、それより気になる情報が出たな。復讐、ねぇ。……それで火薬? そんなに必要か? 粗削りながら使用していた奴が、その威力を知らない筈がない。人を一人殺すだけなら……いや、相手は人じゃなく、何か組織のような集団か。それなら納得できる。




 ……誰か来たみたいだし、一度休憩だな。


「な、なにをしておりますの?」


 おっと、仲間が到着したみたいだ。俺の方だがな。敵にとってはさぞかし残念なことだろう。


「リズ、そっちは大丈夫だったか? こっちは見ての通り……順調だよ」


「え、えぇ、そのようですわね……その方の負傷は?」


「……あぁ」


 ふぅ……ちょっと冷静になれ俺。魔法使いが聞いて呆れるぞ。

 少し頭に血が上りすぎてしまっている。セシリも来たんだ。後は彼女に任せよう。

 ……しかし、このまま放置するのは癪だ。問題は山積み、仮にコイツを連行して、尋問したところで、何か情報を吐くだろうか? 誰かに任せれば大丈夫……なのか?


「な、何をしたの?」


「いや~、抵抗されたもんで、つい……」


「な、何が抵抗だ!? 俺は手も足もでぁぅお!?」


「ちょっと!?」


 俺は敵の顎に思い切りパンチを喰らわせ、失神させた。セシリが何か慌てているが、こっちだって焦っている。

 あ、あぶねぇ。そういや無言の魔法を使ってるとこ見られてたんだった……。思わず気絶させてしまったのはいいが、仮に尋問したとして、コイツは俺のことを話さずに済ませてくれるだろうか? ……いや、ない。100パーセント。絶対、見聞きしたこと喋る。なんとかして口封じできないか……? ……はぁ、もういいや。疲れた。


 俺は半ば諦めながら、未だ耳を塞いで蹲るカミューの肩に手を乗せた。


「おい、カミュー。終わっ」


「ひぃっ!?」


 カミューが思い切り体を震わせ、跳ねるように立ち上がった。

 いや、ごめんじゃん。まあ、そりゃ急に触られたら怖いか。配慮が足りなかった。すまんすまん。


「悪い、もう大丈夫だぞ」


「そ、そっか……お、お疲れ~」


 ……なんか、ぎこちないな。何をそんなに怖がっているんだ。仲間とも合流できたというのに。もしかして、まだ役に立つとかどうとか気にしているのか?


「カミューさん、何がありましたの?」


「え? あ、あはは~。何でもないよ……」


「……ロイ?」


 いや、なんも……そういやカミューに口止めしてたんだったな。約束を覚えていてくれたようで何よりだが、もうちょっと上手く誤魔化してくれないかな? いちいち説得するのも骨が折れるんですよカミューさん。


「……まあ、何があったかは知らんが、目的は達成したようで何よりだ。今度から姿を消すときは事前に言ってくれ」


「いや、わざとじゃないんですよクロムさん」


「……後で説明はしてもらいますが、今はとりあえず……?」


 ん? セシリの様子がおかしい。何かあった……。


 ……力加減とか、カミューに言えたことじゃないな。弱すぎたかぁ。


「全員……死んじまえぇ!!!!」




 ――こんな地下でよくやるわ……とも思ったが、追い詰められたらこうなっても不思議ではないか。少し考えが足りなかったな。


 大爆発が起きた。そこら中に火薬が撒かれていたのは知っていた。おおよそ脱出するための予防策だったのだろうが、まさか自爆に使うとは。まあ、見たところ崩落の危険性は無い。さすがジェムピース。頑丈さが他のダンジョンと一線を画す。

 火元……恐らくマッチ棒か何かを隠し持ってたな。そっちを探知するべきだった。結果はこんな惨状。土埃で何も見えない。


 いやしかし、本当に俺が居てよかったな。


「あぶねぇ……」


「わ、わぁ……」


 寸前の所で防御魔法が間に合った。一応、敵の方にも展開させたつもりだが……爆心地が足元すぎて無事は保証できないな。まあ、死んではいないだろう。

 運が良くても、そこそこ火傷はしてるだろうな。意識が戻らないとかなったら面倒だなぁ。でも、心中は阻止できたし、良しとしよう。仲間は全員、無事だ。


「ふぅ……けっむ!」


「わ、ぁ……」


 カミューが呆然としている。獣人の耳には刺激が強かったか? 一応、爆音もいくらか軽減される筈だが……まあ、そのうち意識も戻って来るか。


「みんな大丈夫?」


「無事ですわ……」


「え、ええ……」


「問題ない」


 よし、全員無傷。早いところ敵の安否も確認しよう。


「おーい、大丈夫か!」


「う……ぅ……」


 ……やめときゃよかったのに。四肢はきちんと繋がってるが、火傷が酷い。見るも痛々しい。カミューが正気を取り戻すまでになんとかしないとな。


「ゆ、る……アイ……ぁ」


 ん? ……おい! 今なんか言いかけなかったか!? 今わの際だぞ! 絶対、重要なことじゃん! ふざけんな!

 揺すって起こそうにも、ちょっとの負荷でさえ怖いこの状況じゃあなぁ。ずっと瀕死にしとけば素直に色々話すんじゃないか? はぁ、本当に間が悪い。……そういうもんだけどさぁ! こっちの仕事が増えるだけなんだよ!


「ロ、ロイ、今のは……」


「あぁ。なにか大事なことを言いかけてたな。ちゃんと聞」


「ち、違いますわ!!」


 うぉ、なんだ急に大声出して。こんなに焦った様子のリズを見るのは初めて、ではないが、おかしいぞ。リズお嬢様、素が出てしまってますわよ。

 しかし、なんだ? 何をそんなに汗まで垂らして……なんか後ろに居るセシリの表情までおかしいな。食い入るように俺を見つめているが……また何か問題でも?


「あ、あなた今、魔法を……」


「………………あ」


 やらかした。……やらかした。盛大に。


 すっかり頭から抜けていた。そうだわ。人前で使っちゃいけないんだった。リズどころか、一番見られたくないセシリにバッチリ目撃されちゃったよ……。

 我ながら、やばくないか? この状況……選択肢が無かったとはいえ、もっとこう何か、他の道があったんじゃないか?


 そもそも、さっさと敵を捕らえておけば良かったのであって……となると、尋問してた時間が無駄で……そもそも最初から仲間と合流しておけば……あれ? なんで俺こんなに一人で頑張ってたんだ?

 ……調子こいたぁ。久しぶりの無言詠唱でテンション上がっちゃってたわ。なんで俺あんなにやる気出してたんだ? 依頼内容は重要参考人の捕縛、その手助け。そう! 手助けだよ! マジでなにしてんの??

 クソが。末代まで呪ってやりたいところだぞ俺。何しでかしてくれてんだ。目標を見失うとか……我ながら、らしくないぞ。もっと適当に、平穏に生きたいんじゃないのか? 本当、何を考えてんだ……。


 しかし、過ぎたことは変えられない。切り替えるしかない。どうにかこの場を丸く収めて……どうすればいいんですか? この状況。


「……いや~! なんかよく分からないけど、みんな無事で良かったですね!」


「無理がありますわ」


「説明しなさい!!」


 くっ、さすがにか。でも説明って……どうする? なんて言い訳すればいい? たまたま隠し部屋を見つけて、機械を弄ってたら無言詠唱もできるようになりました、とか?

 ……どうすりゃいいんだよ。無理だろこんなもん。


「あなたが今やってみせたのは、無言詠唱。それは……ジェイク・パーソンズの御業です。一体どうして……」


「そういえば、セシリさんは開闢の賢者の……無言詠唱者というのは、ただの伝説では……」


 ややこしくなってきた。セシリは俺を、まるで仇を見ているかのような目で見て来るし、リズは魔法学の叡智えいちに興奮し始めてしまっている。えっち、だけにね!w

 ……はぁ……となると、次は……。


「あなた、背中を見せなさい」


「ほら来た。セクハラで訴えます」


 信じられないといった顔でこちらを見ているが、マジですよ? マジですからね?? さ、させないぞ……! もう10年もの間、俺はこれを隠して生きて来たんだ……! こんな所で散ってたまるかッ!!


「馬鹿なこと言ってないでさっさと見せなさい! ほら!!」


「こ、ここに! 変態が居ますぅ! 仕事中のくせして、夜は風俗街で男を漁ってる喪女エルフが居ます!」


「な、なぜそのことを!?」


 もう人の名誉とか気にしてられん。かつての仲間が、なんだ! 仲間なら、俺の平穏を思って、名誉の一つや二つくらいスッと差し出せぇぃ!! 


 おい! 喪女エルフ! 服を引っ張るな! やめ、やめろぉ!!


「リズ! 見てないで助けて! か、カミューさぁん!! 起きてください! 出番ですよぉ!!」


「魔法には詠唱が必要……いや、しかし、本当なら……ブツブツ」


「……きゅ~zzZ」


 くっそ!! どいつもこいつも肝心な所で役に立たねぇ! いいんかリズ!? 幼馴染が今! 服を剥かれて襲われそうになってるんやぞ!!

 頼むカミュー起きてくれぇ! なに寝てんだぁぁ!!


「こ、この……! いい加減に……! 戦士さん! 手伝ってください!!」


「ふむ、分かった」


 え? クロムさん……? なんで、そっちに味方すんの?


 ちょ、ちょっとぉ! クロムはシャレにならん!! 力加減が……! おい仲間じゃねえのかよお!! なんでセシリに味方するんだ!! さてはお前! なんも考えてないだろ!? ノリでこっち来てるだろ!? 人の不幸を面白がってんじゃねぇぞこのクソオオカミがぁ!!

 まずい、ふたりがかりは、ふ、服が……!


 ――あっ。




「!?!?!!??!?」


 ……まるで、雷が落ちたかのように驚愕したのはセシリ……ではなく、クロムの方だった。鎧で見えないが、手や尻尾に生えた毛が逆立っていそうな勢いだ。


 最悪……最悪よりも、最悪なことが起きてしまった。なんでそっちなんだよ……。




 揉み合いの末、露わになったのは……背中ではなく、左腕の方。

 それはそうだ。背中を見るには服を脱がなきゃいけないが、腕なら袖を少し捲るだけでいい。捲れたのは一瞬だけで、すぐに戻した。戻したが……このクロムのリアクションを見るに、しっかりと目に映ったのだろう。


 彼女が見間違う訳もない。


 左の前腕に描かれる、手を模した鎖の刺青、その誓約の証を、俺は服の上から抑えつけた。手遅れは承知の上で。


「ふ、ふふ、ははは、そういうことか……道理で似ているわけだ」


「? な、何の話?」


 セシリを置いてけぼりにしたまま、クロムが笑いながらにじり寄って来る。体の揺らし方が幽鬼のそれで、俺の恐怖を煽るには十分だった。


「私が知る限り、その紋様を身に着ける人物は、この世界でたったの2人。かつてのニジュランド王国に侵攻した魔王、ロード・マグダス……」


 いつからか、クロムは兜を身に着けなくなっていた。素顔を隠す理由が無くなったのかと思いながらも、俺は特に気にしていなかった。

 そのクロムの素顔が、歪に笑みを浮かべる。


「……そして、お前だけだ。テオ」

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