第2話 魔王降臨
静かな朝を迎えた。
清々しい気分の気持ちの良い朝だ。
気分が良い朝だ。そして無性に腹が減った。
宿の食堂に降りると食堂のザワツキが聞こえてくる。
朝食を食べながら聞き耳をたてた。
王都からの冒険者が惨状を訴えている。
何事かと考えながら食事を終えて、ギルドへ向かった。
ギルドでも王都の壊滅の噂で持ちきりだ。
【魔王が襲来した】
【魔王で王都が壊滅した】
【魔王、まおう、魔王が生き返った】
【王が死んだらしい】
【王国は終わった】etc
ギルト内は緊張感が漂い、人々は視線を落とし絶望感が辺りを支配している。
ふと、男は召喚された日をふと思い出した。
召喚された時点で【隷属の首輪】を付けられて、戦場から戦場へ駆り出された日々のことを。
屈辱の、そして哀しみの日々を・・・。
何度も何度も王を女神を恨んだ事を。
隷属の意識の中で、半ば自我を失いかけた男は、
ただ偶然に命令の中に無かっただけの、魔族の命を助けた事から、僅かな希望が生まれた。
命を助けられた魔族の提案で男は、一度死んだ。そして死ぬ事で隷属の軛から逃れられた。
それからの男は、冒険者として辺境をさ迷い、復讐の機会を待っていた。
やがてその日が来て、王都は壊滅した。
その時、男は一度だけ、魔王と化した。
勿論、その後の歴史書には、魔王の復活は記されていない。
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