毎回問題を出す先輩

読者を不思議な哲学の世界に誘う青春小説です。文芸部で出会った後輩の百瀬と、どこか掴みどころのない先輩・深見。部室で交わされる二人の軽妙なやり取りは、まるで心地よいリズムを刻む音楽のようです。

「明日」はいつ来るのか、悪役と悪人の違いとは何か、そして生と死の境界線はどこにあるのか――。先輩が投げかける一風変わった問いかけは、時に屁理屈のように聞こえますが、その言葉の奥には、彼自身の抱える過去の葛藤や、百瀬への深い想いが隠されています。

そして明かされる、二人の「出会いの日」。雨の日の駅のホームで、すべてに絶望していた百瀬を、先輩は優しく、そして力強く救い出しました。過去の出来事が明かされた…続きを読む