第16話
「最後に、そこを結んで。」
「―出来た!」
鴻先輩に教わりながら、私は類本を完成させた。ライブラリアンは、ミルイ退治に使う類本づくりもお仕事の一つ。紙や糸の素材は何でもいいが、綴り方がミソらしい。
「じゃあ、これを―わああ!?」
うっかり腕を本の山に引っかけ崩してしまった。私達が類本を作る横で、汰端先輩と轟君は本の修理に当たっていた。
「大丈夫か春野君?」
「だ、だいじょぉおおおお!?」
本を拾おうとして、また落っことす。見かねた轟君が拾うのを手伝ってくれた。
「しっかし量が多いっすねー!」
「ミルイが出現した本と、ゴローから頼まれた本と両方ありますからね。」
「本好先輩にちょっと量減らしてって言っちゃ駄目すかね?」
「図書部の隠ぺいに協力して頂いているので、むしろこちらが仕事を要求している状態です。減らせというのは厚かましい要望になります。」
「良き図書室作りにご協力シクヨロだよん。」
「本好先輩いつの間にいたんですか!?」
「ひどいなぁ蓮華ちゃんさっきからだよん。」
「ゴロー、馴れ馴れしいですよ。修理が終わった本はこっちです。持って行って下さい。」
「ほいほ~い。じゃ、追加でこれもシクヨロ~。」
「げええ!また増えたっす!」
こんな具合で、部員四人(と、時々一人)で結構楽しく部活動をしていた。
「俺、ちょっと鴻先輩苦手かも。」
だから一か月経ったある日轟君がこう漏らした時、私はすっごくびっくりした。
「え?でも轟君、今日だって普通に喋ってたよね?」
「いや会話はするけど…なんか向こうは俺嫌ってる気がするー。」
「ええ!?それは無いと思うよ!」
私はかぶせ気味にそう言ったけど、轟君は明らかにしょげている。よっちゃんが言ってたけど、轟君は誰とでも仲良くなれる人たらし。だけど逆に、嫌われてるって思うと元気がしぼんでマイナス思考になるらしい。
「俺と組むと、決まって『
「難しいよね、私も苦手。大きさが分かったって、それに当てはまる物が何かって知識は無いし。」
「となるとさ、
「轟君、適性も増えたもんね。」
轟君は最近、536の適性を身に付け、鉄道も呼び出せるようになった。とりあえず電車やトラックといったデカイ物をぶつけてけん制しつつ、自分は車に乗り込んで接近して類本をぶつけるというのが轟君の戦法。逃げて隠れて、慎重に相手が何か見定める鴻先輩とは真逆だ。
「一か月経っても敬語だし、入部の時も渋ってたし……。」
「多分心配なんだよ。ミルイは危険だから、出来れば関わって欲しくなかったんじゃないかな。敬語なのは……なんていうか、先輩堅い所があるし。」
私は地下書庫で迷い込んだ時に鴻先輩に謝罪された事、そして、私の
「良くも悪くも、きっちりしている人なんだと思う。」
「そうかなぁ。」
轟君はやっぱり納得していない顔で首を傾げた。
「俺、何とか仲良くなろーって思って、色々話しかけたのよ。でも、先輩ってアドバイスはくれるけど雑談はしてくれなくてさ。」
「雑談……。」
「春野は鴻先輩とペア組む事多いじゃん?仲良い?」
「悪くはない、と思う。ただ、ペアを組むのは、
4類は動物の大きさとか物質の質量とか、何かを測った情報が載っている本が多い。測量が出来る私がいる方が、4類のミルイに対処しやすいはず、という算段だ。
「私も、助言はもらうけど雑談はしてないかも……。」
もしかして、私も距離置かれてる?ま、まあお金目的でこの部活に入ってるし、軽蔑されるのは仕方ないか……。「友達を助ける!」っていう動機の轟君とは天と地ほどの差があるよね。
「轟君って偉いね……。」
「どした春野!?なんで急に褒めるんだ!?」
「お待たせ―、ってどしたげんげ!シャリョーにいじめられたか?」
「なんでそうなる!?」
その後、二人のおごりで私はミスドに連れて行ってもらえたのだった。
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