🌱語彙の芽〈第10話編〉

「きれい」だけじゃ、風景は伝わらない。


📍ワンポイント紹介:

第10話では、夕焼けを前にした晶が、“きれい”という言葉だけでは

自分の気持ちが伝わらないことに気づきました。


「空が、茜色の抱きしめ方をしてるみたいだった」


それは、色と感情と動きが重なった、晶だけの“描写語彙”でした。


風景を表現するには、「何がどう動いて、どんな印象を残すか」まで言葉で掴むことが大切です。

写真が“見たまま”を記録するなら、言葉は“感じたまま”を残すシャッターです。


🔍語彙解説:

▶ 風景描写の3つの切り口

① 色彩(色の名前・濃淡・混ざり具合)

空の色はただ“青”や“赤”ではなく、「薄曇りの青」「茜色」「群青」「焦げ茶の雲」など、

色には感情を映す名前がたくさんあります。


例:「夕空が、オレンジとグレーのインクでにじんでいた」


② 動き(空・光・雲などの様子)

空は止まって見えるようで、光が広がり、雲が流れ、影が伸びていきます。

“ゆっくり”や“ふわり”などの副詞や動詞が印象を決めます。


例:「光が街をやさしく撫でていくようだった」


③ 構造(空の広がり、奥行き、高さ、囲まれ感)

風景を空間的に捉えると、読者の中に“立体的なイメージ”が湧きます。

「空が迫る」「空が包む」「空が抜けている」など。


例:「空が大きすぎて、自分がちっぽけに思えた」


🧩使えるテンプレート:五感を風景にのせる

「◯◯色の空が□□のように広がって、△△な雲が◇◇していた。

その中で、◇◇な気持ちがふと浮かんだ。」


📝 例文:


茜色の空が街を包み込むように広がっていて、

雲が静かにとけるように流れていた。

そのやわらかさが、どこかさみしくて、

今日は終わってしまうんだと、胸がきゅっとなった。


🌱Point:風景の“静かさ”や“広さ”は、気持ちの鏡にもなります。


💬実践チャレンジ:

あなたが最近見た風景で、「きれい」と感じた場面を思い出してみましょう。

それを、“描写語彙”を使って表現してみてください。


ヒントになる質問:


空の色は何色だった? 単色? グラデーション?


雲や光はどんな動きをしていた? 速い? ゆっくり? どこへ?


空や風景は自分にどんな印象を与えた? 包まれる? 解放される? 切なくなる?


🤖AICOの語彙メモ:

“きれい”という言葉は、万能だけど不透明です。


色、動き、広がり――それらを拾い上げて、

あなたの感情を重ねるとき、言葉は景色になる。


それは、カメラには写らない風景です🌱


🔜次回予告:

▶ 第11話「語彙という鏡」

言葉を変えることで、関係も変わる?

晶の中に芽生える「語彙が人の見え方を変える力」――

相手の“目”に映る自分と、語彙の不思議な関係が動き出す。


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