第28話 スノーボード


1993年3月

月曜日の放課後。いつもの【ロクロク】左奥のボックス席に、5人はいつものように腰を下ろしていた。


健司「昨日さ、久々にスキー行ったんだわ」


恭一「お、どこ行ったんだ?」


健司「札幌国際スキー場こくさい行ってきた」


大輔「おぉ、良いな!デカいとこ行ったな」


健司「でさ、思ったんだけど──スノーボードやってる人、なまぁ増えてたわ!」


竜「北海道でも増えてんだな?確かに最近テレビとかでも見るしな。スノーボードのマナー問題とか」


健司「そうそう。でも変なとこで座ってる人はいなかったな。端っこに座ってる人は何人かいたけど……まあ、座りたくなる気持ちはわかる!」


純平「アレ、すげー面白そうだけど、両足ガッチリ固定されてんだろ?あれが怖ぇって!」


恭一「オレはやりたくねぇな、転んだら足折りそうだし」


健司「なっ!でもカッコいんだわ。あと、若い奴らは、けっこうスノーボードだったな。これからスキーよりスノーボードの時代になるな。オレもやりたいわ」


竜「うちら世代だと、まだスキーが主流って感じだけど……やってみたくなるよな」


恭一「てか、レンタルあるのか? スキーより高そう」


健司「無いな!買わなきゃなんねぇわ。価格は知らねぇけどスキーくらいはするだろうな?全部揃えたら高いぜ多分」


大輔「よし!じゃあ 勝負するか!」

  「スノーボードはアリかナシか⁉︎ アリ派はこっち、ナシ派はあっち!」


・アリ派:健司、大輔、竜

・ナシ派:恭一、純平


純平「やってみたいけどなぁ、あの板で山滑るのは勇気いるわ……両足固定は違和感すげぇべ?転ぶの怖い」


竜「まぁ最初は誰でも転ぶだろ。てかスキーもスケートも最初はコケるしょ?」


恭一「スケートは授業であったし、スキーも当たり前のようにやってたからなぁ。今さらスノーボードを練習するって勇気いるな」


健司「だから面白いんだって!今までの感覚と全然違うぜ。新しいだろ?」


大輔「オレはやりてぇな。スケボーやってたしよ。でも、やっぱ両足固定は怖ぇな」


大輔「ルスツやニセコ 、トマムなんかならもっとスノーボードやってる奴多いぜ、多分」


恭一「……んー、まあそうだろうけど、そもそもスキー人口も減ってるのにスノーボードが増えるか?」


純平「それを起爆剤にするために、スキー場もスノーボード推奨するんじゃねぇか?」

 

そして、議論はその後10分続いた

________________________

 

大輔「よし!じゃあ、多数決いくぞ!スノーボード“アリ派”はビールを上げろ!」




「いっせーーーーのーーっで!」



「ハイッ‼︎」



上がったのは……4本。


スノーボード“あり派”の勝利!


・あり派 健司、純平、大輔、竜

・なし派 恭一


健司「よっしゃ!」


大輔「よし、今年はもうムリだけどよ、来年はみんなで行ってみるか?。最初は恵庭市民スキー場盤尻(ばんじり)で練習でいいだろ」


純平「誰か教えてくれる人いねぇかな?」


竜「いや〜いねぇだろうな」


するとカウンターの尽さんが、声をかけてきた


尽「おい、お前ら!オレで良ければ教えてやるぞ!」


健司「えっ⁉︎尽さんスノーボード出来るんすか

⁉︎」


尽「あぁ2年前から始めたんだよ、まぁそんなガッチリ教えるって感じじゃないけど、基本なら教えられるぞ!」


大輔「マジか!スゲー!よろしくお願いします!」


健司「あの歳で……!スゲぇおっさんだ!」


大輔「誰がおっさんだコラっ!人のお義父とうさんに向かって!」


健司「誰がお義父とうさんだコラっ!

尽さん、言ってやってください!お前にお義父とうさん呼ばわりされる覚えはないっ!娘に近づくな!って」


「ぎゃはははははは〜」

みんなの笑い声が響きわたる


尽「お前らホント、……仲良いな。うらやましいもんだわ」



その時、スピーカーから流れてきたのは、ロックンロール・メドレー。 and the All Night Newsboys のGood Old Rock ‘n’ Roll

メドレーのように移り変わる流行り、未来を想像しながら、5人は笑い合っていた。

 

___________________

……そして、気づけばスキー場の風景も、少しずつ塗り替えられていく。

主役だったスキーに代わって、スノーボードが“新しい顔”として急速に存在感を強めていった。

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