第27話 雪まつり
1994年2月
水曜日の放課後。いつもの【ロクロク】。5人は左奥のボックス席に集まっていた。
健司「尽さ〜ん、コロナ5本とポテト一皿お願いしまーす!」
尽「OK!」
大輔「で、純平。週末はデートか?」
純平「あぁ雪まつり、行こうと思ってんだ」
竜「いいねぇ、天気良ければいいな」
純平「あぁ。昼から行って、ライトアップされるのも見るんだ」
恭一「……夜まで⁉︎ お前、何時間いるつもりしてんだ⁉︎」
健司「死ぬぞ! いや死なねぇけど、下手すりゃケンカになるぞ、それ!」
純平「でもさ、雪像もちゃんと全部見たいんだわ。昼の景色と、夜のライトアップされたやつ、ぜんぜん違うし」
竜「その気持ちはわかるけどな〜……昼からとか、なまら寒いぞ? オシャレとかしてる余裕ないからな」
恭一「ニット帽は絶対だぞ。フードでなんとかしようとか思ってんじゃねぇぞ?タイツもはけ!」
健司「子供のころにアノラック着て行った記憶あるわ〜」
大輔「アノラックって懐かしい響きだな!久々聞いたぜ、ははは」
健司「そのくらい、寒さ対策しないと無理ってことよ」
純平「まあ……防寒は色々やってくとして、とにかく楽しみなんだよ」
大輔「よし、じゃあ勝負だ!」
「さっぽろ雪まつり、行くか?行かないか?行く派はこっち! 行かない派はあっちだ!」
・行く派 :純平、大輔
・行かない派:健司、恭一、竜
竜「地元民は行かないってのが定番だな。混んでるし、寒いし、食べ物高いし。札幌の人が通りすがりに見るくらいだ」
純平「会場で食べ物は買わねぇよ。昼はマクドナルド行くつもりだ。恵庭にないから、それも楽しみなんだわ」
健司「ハンバーガーなら、北広(隣の北広島市)にドムドムあるだろ?」
純平「ドムドムとマクドナルドは別だ!」
恭一「それは……まあ、確かにな〜」
大輔「地元民はわざわざ行かないけど、デートは別だな!デートならやっぱ夜見たいよな⁉︎寒けりゃオーロラタウンかポールタウン(地下街)に避難すりゃ良いんだよ」
恭一「着込んでいくと、そのオーロラタウンで暑さ地獄を味わうんだよ。マジで暑いぞ、冬のオーロラタウン!着込んでウィンドウショッピングなんて出来ないぞ」
純平「じゃあタイツはやめるか……」
健司「夜までいるなら、ホントにスキーウェア着るくらいの気持ちじゃないと寒すぎて、『もう、無理』ってなるからな。甘く見るなよ〜」
議論はさらに20分続いた。
_________________________
大輔「よし! 多数決だ! 雪まつり“行く派”は、ビールを上げろ!」
「いっせーーーーのっ ハイッ‼︎」
上がったのは……3本。
行く派の勝利!
行く派 :純平、大輔、竜
行かない派:健司、恭一
純平「よっしゃ!行く派の勝利!」
竜「デートならアリなイベントだよな、せっかく近いしな。昼から夜までは、やり過ぎだと思うけど」と笑う。
大輔「カイロ10個くらい貼っとけ!」
健司「マジで風邪ひくなよ!」
純平「あぁ、あんがと ♪ 」
その時、Elvis Presley の Can’t Help Falling in Love が、スピーカーから流れていた。
誰かを想う気持ちが、ゆっくりと胸の奥に降り積もっていくような夜だった。
──そして数日後。
札幌・大通公園
ライトアップされた雪像が、幻想的な光を放っていた。
観光客の声とシャッター音が響く中、2つの影が、静かに寄り添って歩いている。
光の前で、ふと立ち止まる2人。
ほんの短い沈黙のあと、2つの影が、そっと重なった。
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