(11)翔太 - かほと2度目の春

 2度目の春、結果的に6回目の指名が最後の夜だった。その時は知るはずもなかったけれど、もし知っていたら、もっと違う時間の過ごしかたがあったかもしれない。


 白いままのかほの肌。うっすらと湿気をおびていた。この日、かほの小柄で華奢きゃしゃ身体からだの動きはいつもと違った。ぼくがかほの大切なところにくちびるをよせると、どこか切ないかほの声がひびいた。


 かほがぼくの大切なものに手を差し伸べる。いつもより丁寧で、ゆっくりとしたかほ。まさに融通無碍ゆうずうむげ。このまま時が止まってほしいと思ったけれど、かほはこのときすでに、やめることを決めていたのだろう。


 この日を最後に、ぼくはかほに会えなくなった。喪失感そうしつかんが胸をしめつける。たがいに一目ぼれだったことを知り、一緒の笑ったあの日のこと。それが突然、過去の思い出に変わった。ふたりがふれあったのはこの日が最後だった。心が通いあったはずなのに、どこか苦しい思い出になった・・・。

(つづく)


(第1章「作品解説」)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175599033689(CatGPTって、なに?)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031

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