(10)かほ - アイツと2度目の秋

 2度目の秋、5回目の指名をされた。アイツが今日も会えてうれしい、といってきた。わたしもそうだ、と返事するのも仕事だから。わたしとアイツのくちびるをかさねるのも仕事だから。わたしの大切なところをアイツにもてあそばれるのも仕事だから。


 アイツの名前を呼びながら声をかみ殺してみせるけど、心は空っぽ。アイツに手をのばすと、アイツは不規則に身体からだをふるわせていた。早く終わってほしかった。うっとりした表情のアイツの姿を見るのはまるで拷問ごうもんだった。


 アイツが止めてほしいといってきたその瞬間、悪い予感がした。アイツがためらいながらその言葉を口にする。突然の告白。どうしていいか一瞬わからなくなった。拒絶感が頂点にのぼりつめ、こんな仕事、やってられないと気がついた。


 わたしも一目ぼれだった、と思わずウソをついた。アイツと一緒に笑うふりをしたけれど、その瞬間、店をやめることを決意した。寄せては返す不快感に耐えられず、早く逃げ出したかった。わたしの言葉はその場しのぎ。アイツがよろこびそうなセリフをいっただけ。アイツの笑顔がうとましかった。

(つづく)


(第1章「作品解説」)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175599033689(CatGPTって、なに?)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031

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