第5話 ゲームの醍醐味といえば戦闘
リオンは早速ギルドでモンスター討伐のクエストを引き受けて、街のすぐ外のフィールドに出ていた。
ここはゲーム開始時に通った大樹の森だ。木々の隙間から差し込む光があるだけで、全体的に薄暗い。
周りには他プレイヤーの姿があるので、リオンはそこから少し離れた場所まで移動してから、目的のモンスターを倒すことにした。
(見つけた。)
ヒュージホーネット、つまりは大きなハチ。
レベルは1だ。
羽が高速で動いていて、その音がすごく耳障りなモンスターだな。
こちらはまだ気づかれていないようなので、奇襲ができそうだ。
「よし、やってやるか」
慣れた動作で剣を構えた。
勢いよく走り出し、ヒュージホーネットに向かって真っすぐに剣を振り下ろした。
その攻撃は見事命中。
おそらく大ダメージだろう。
そのまま間髪入れずに剣を横に薙ぎ払う。
ヒュージホーネットは一瞬にして倒れ、消滅した。
(まぁ序盤の敵はこんなもんか。)
リオンにはこれまでに数々のゲームで遊んできたので、すでに剣の基礎が備わっているのだ。
クエストで指示されているのはヒュージホーネットが5体だ。
よし、この調子でサクッと終わらせよう。
そのままリオンはあっという間に5体のハチを倒した。・・・とはならなかった。
少し離れたところにヒュージホーネットが1体いたので、リオンはさっきの要領でもう一度倒すために敵に近づこうとしたら、今度はハチと目が合った。
ハチはどう見てもこちら威嚇している。
(よし、次は正面からいくか。)
そう頭の中で決め、剣を片手にヒュージホーネットに向かって猛ダッシュした。
すると今度はヒュージホーネットもこちらに向かって飛んできた。しかも。
(速い!)
リオンは焦りヒュージホーネットに向かって剣を縦に振り下ろしたが、その攻撃はヒュージホーネットにあっさりかわされてしまった。
(何!?)
すると今度はその隙にヒュージホーネットのお尻の針でブスリと腕を刺されてしまった。
「痛ッ!」
あまりの急な出来事にリオンの思考は追い付いていなかった。
リオンが序盤の敵に攻撃を避けられたのは初めてのことだった。
ヒュージホーネットは一度こちらと距離を置き、こちらの様子をうかがっている。
ここでリオンは、自身の体力ゲージが今の攻撃で3割程度削れていたことに気が付いた。
(敵の攻撃が痛すぎる。)
ヒュージホーネットがもう一度こちらに向かって飛んできた。
次は焦らず確実に・・・
リオンは落ち着いて縦に振り下ろした。
命中
ヒュージホーネットは真っ二つになり、一撃で消滅した。
(相手のスピードと合わさって、攻撃の威力が上がったのか?)
そして今回は、蜂蜜のアイテムがドロップした。
ドロップ品はアイテムボックスの中に自動で入るようだ。
(それにしてもおかしい。今戦ったヒュージホーネット、序盤に出てくる最初の敵にしては、強すぎる。)
ゲームの序盤といえばスライムやネズミといった雑魚敵が出てきて、大体すぐに倒せるし、そこでやられることなんてまず無い。しかし。
(今回戦ったヒュージホーネットは、気を抜けばすぐやられてしまう程に受けるダメージが大きいし、攻撃も当てづらかった。)
どうやらこのゲームは、ほかのゲームとは一味違うようだ。
(そういえば今の戦いで経験値はどれくらいもらえたんだろう?)
視界の端に移るHUDを見ても、レベルや経験値などの項目は見当たらない。
ここでリオンはとんでもないことに気が付いてしまった。
そう、このゲームにはレベルの概念が無いということに。
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社会不適合な俺にはゲームくらいしか取り柄がない もいりん @maylin3
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