第1章 恋愛経験ゼロJKの長い1日
第2話 恋愛経験ゼロJKは朝の身支度を済ませる
「メアリー、テクニカル高校ハ慣レタ?」
「もー!!パパ、私の名前…芽・愛・梨だから!!メアリーじゃないよ!!それに、まだ4月だし…慣れたかなんて、分かんないよ…。」
あれから私は靴下を履くと、2階にある自分の部屋を出た。そして、同じ階にある洗面所で顔や髪など整えた後、1階にあるダイニングへと向かったのだ。
まさに今、最大6人掛けできるダイニングテーブルへと、上座に父親(以降、パパ)と母親(以降、ママ)、下座に私と妹の4人で相対してダイニングチェアへ座りながら、朝食を摂り始めたところだった。
「僕ハ、メアリーガ良カッタンダ!!デモ、メアリーノ…グランパガ、芽愛梨ダト…決定シテシマッタ!!」
私の出生届を出す際、子の氏名欄へと“メアリー”とパパが記入しようとして、当時は当主だったお祖父様に止められた挙句、“芽愛梨”と決められてしまったそうだ。
未だにパパは根に持っており、お祖父様の居ないところでは、これ幸いと私のことをメアリーと呼んでくるので、最近若干面倒くさいなと思い始めてきている。
ところで、両親については軽くは説明したと思うが、北欧人で前田家の婿養子で、若干面倒くさいパパの名前は、ルドヴィグという。
ただ、身長は190cmくらいあるのだが、中世の剣闘士みたいに筋骨隆々な体つきなのだが、それでいて肌の色は透き通るように白くて、不思議と清潔感がある。
ちなみにパパのお顔はと言うと、長髪のブロンドヘアに翆色の目で、目鼻立ちのハッキリした甘いマスクの2枚目だ。
「あの時のルドヴィグ、本当可哀想だったんだよー?だから、芽愛梨?これ以上、パパのことイジメちゃダメー!!」
そう言いながらパパを優しくフォローしてしまうのが、私たち姉妹の母親であり前田家の現当主でもある、ママの名前は
身長は155cmしかないが、日本人にしてはブルベ系ピンク肌の色白で、細身だが骨格はストレートタイプのようで、出るところはちゃんと出ている。しかも、私たち姉妹を産んだとは思えないプロポーションを維持している。
そんなママのお顔はと言えば、黒髪のミディアムヘアに、エレガントタイプな顔立ちで、かなり控えめに言っても美人だ。
「はーい。」
「あ、そうだ!!芽愛梨ちゃん、ゴメンねー?言うの忘れてた…。」
「え?
急に、思い出したかのように喋り始めたのは、今年で中学3年生になった妹の莉梨亜だ。それまで、私たちの会話に耳を傾けることもせず、黙々と朝食を食べていたのにだ。
莉梨亜は、どちらかというとパパの家系の遺伝が色濃く出ていて、見た目もハーフというより北欧人寄りだ。
なんと身長は176cmもあり、透き通る程の白い肌に、すらりとした細身のウェーブタイプだ。髪の色はプラチナブロンドで、目の色は蒼く、キュートタイプな顔立ちなので、姉から見ても可愛い。
アニメとかでお馴染み、エルフの耳が長くない感じと言えば、イメージしやすいだろうか。
「実は…昨日、ね?凜杜くんに、お勉強教えて貰っちゃったんだよ…ねー!!いえい!!いえーい!!」
「はぁー?!何それ!!ただの自慢?!」
ああ、そういえば昨日の放課後、6限目まであったから、16時近いし帰宅しようと思って、私は凜杜を探しに校舎4階にある2年の教室に行った。
でも、教室に凜杜の姿なくて、先輩たちから『芽愛梨ちゃん、凜杜ならもう帰ったよ?』って言われて、私はひとりで帰ろうと廊下を歩き出した。そしたら、同じ中学の先輩で凜杜の友達が『ひとりだと危ないから』って、一緒に帰ってくれたんだった。
でも、凜杜が先に帰った原因が、妹の莉梨亜だったとは。
「うん!!自慢だよー?あれー!?芽愛梨ちゃん、羨ましそうな顔しちゃってるよー?」
「はーい、そうですかー。あ、そうだ!!忘れてた!!」
──ガタッ…
最近、莉梨亜は何かにつけて、私に対して煽りを入れてくるようになった。ひとつ上の姉への対抗心なのだろうか、私は妹しか居ないのでそこはよく分からない。
まぁ、そんな話は置いておいて、早朝の凜杜からの『少し、早めに迎えに行く』というインスカのDMチャットを、私は思い出し椅子から立ち上がった。
──ガチャッ…カチャッ…
「さて、食べ終わったし?私、リビング行くねー。」
我が家のルールで、食事の際はダイニングへのスマホ類の持ち込みが禁止されている。その為、リビングのテーブルなどにスマホ類を必ず置いてから、ダイニングに向かう。
それと食事が終わったら、自分の食器は自分でキッチンのシンクまで運ぶのも我が家のルールだ。
「え?!芽愛梨ちゃん、今日やけに早くない!?」
「んー?莉梨亜が遅いだけじゃなーい?」
やけに早いのは本当は正解なのだが、それは凜杜が少し早く迎えに来るっていうからで、まだ私には洗面所で歯磨きと、身だしなみチェックが残っている。
あと、ママから朝食の時くらい、クリーニングが大変なブレザーを着るなと言われているので、まずは自分の部屋に戻ってブレザーを着るところからだが。
─_─_─_─_
「よし!!きょ…今日も、完璧…だよね?」
ブレザーを羽織って、そのポケットにスマホをねじ込んだ私は、洗面所兼脱衣所のドレッサーの前に立っている。
さっきは、自分自身のことをいう機会がなかったけれど、今はドレッサーの鏡の前に私はいるので、少しだけ話しておこうと思う。
──コンコンコン…
私は、ひとつ下の妹の莉梨亜とは違い、ママの家系の遺伝が濃いようで、ステレオタイプな日本人強めのハーフだ。
その為、身長はママよりは微妙に大きいくらいで、160cmあるかないかだ。肌はママとパパの中間でブルベ系ピンク肌に少し白味が強い感じだ。体型はママに似たのかストレートタイプで、自慢じゃないけど気付けばメリハリボディに勝手になっていた。
髪はブラウンブロンドのセミロング、目の色は抹茶色で、顔はというと、『芽愛梨ちゃんはママ似だね』とよく言われるので、基本はエレガントタイプの顔立ちだと思う。
「芽愛梨ちゃーん!!」
ママの遺伝が強いせいで、入学早々茶髪にしてきてると、事情を知らない別学年担当の生徒指導の先生に呼び出されたのは、いい笑い話。まぁ、流石に1年担当の生徒指導の先生が、間に入って事情を説明してくれたから助かったけど。
まぁ、そんな感じで残念ハーフなのが私こと、前田家の長女で工業JK1の芽愛梨だ。
──ドンドンドンッ…
「開けてよー!!遅刻しちゃうじゃん!!」
因みに、私が今いる2階の洗面所兼脱衣所については、私たち姉妹専用になっていて、ちゃんと奥には浴室もある。いつの間にか、朝食を終えた莉梨亜が洗面所のドアの外まできて、ドアを叩き始めたのだ。
普段、私は鍵を開けっぱなしで入るのに、今日はうっかり鍵を閉めてしまったようだ。
「莉梨亜、ごめーん!!鍵開けるねー?」
──カチンッ…
──ガラガラガラガラッ…バンッ…
「もー!!ウチが遅刻したら、芽愛梨ちゃんのせいだよー?」
折角の可愛いお顔が台無しな、百年の恋も冷めそうな形相で莉梨亜は、洗面所のドアを勢いよく開けると、私に文句を言いながら入ってこようとした。
「はーい。ごめん、ごめーん。」
──ヴヴッ…
ブレザーのポケットに入れている私のスマホが、急に鳴動した。そういえば、凜杜は電話よりもチャット派のようで、通話すればすぐ終わるのに、何でもかんでもチャットで連絡したがるのだ。
──ガラガラガラガラッ…トンッ…
──カチッ…
莉梨亜とすれ違いながら洗面所を出た私は、後ろ手にドアを閉めると、スマホの側面にある電源ボタンを押して画面を点灯させた。
──『新着メッセージ:【インスカ】凜杜 からのDMチャット』
{ヤバ!!凜杜からだし!!絶対、もう来たんじゃん!!}
──タンッ…
──『芽愛梨、門まできたぞ?』
ここで声を出すと、莉梨亜にバレるかもしれないので、心の中で呟くと凜杜からの新着メッセージを確認した。
──タンッ…
──「はーい。今行くね?」
スマホに表示されている只今の時刻は“07:05”で、いつも凜杜が迎えにくる時間より、5分程早い。
あるあるな話だが、工業JKが登校を始める時間は、他校の運動部並みに早い。
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