第14話 ゆらといっしょに
最近、
ゆらと話していると、他の子たちも自然に混じってきて、みんなでおしゃべりをするようにもなった。
「深優ちゃんの髪、さらさらだよね」
「毎日ヘアアイロンで伸ばしているんだよ」
「すごいなあ、深優ちゃん、うまいねえ」
「えへへ」
「あ! そう言えば、今日、英語の単語テストじゃなかった?」
「そうだよ」
「ゆらちゃん、勉強したの?」
「うん、やったよ」
「わたし、やってない! 何ページだっけ?」
「あのね」
そんな感じで、突然小テストの勉強が始まったりもした。
みんなで勉強すると、不思議によく頭に入った。
「ゆらちゃんが、問題出してくれたり、間違えやすいのを教えてくれたりするの、たすかる! おかげで、単語テスト合格したよ。ありがとう!」
「どういたしまして。あのね、教えると、わたしも覚えるんだ。次の小テストも頑張ろうね」
「うん!」
「あ、そうだ。深優ちゃんって、スマホ持ってるの?」
「持ってるよ」
「あのね、合唱部のLINEグループがあるんだ。深優ちゃん、招待していい?」
「うん! 嬉しい。ありがとう!」
「ねえ、クラスLINEも招待していいの?」
「お願い! 入っていなくてさみしかったんだ」
「スマホ持っていないか、LINEを親に禁止されているか、どっちかかなって思ってたんだよ。違うんだね。じゃ、クラスLINEも招待するね。電話番号教えてくれる? わたしのはこれ」
ゆらは深優に、電話番号が書かれたメモを渡した。
深優も、メモに電話番号を書いてゆらに渡す。
「じゃ、家に帰ったら連絡するね!」
「ありがとう、ゆらちゃん」
その日は、家に帰っても『kokoroの音』を開くことはなかった。
なぜなら、ゆらからの連絡を待っていたからだ。
ゆらはちゃんと連絡をくれて、それから、合唱部とクラスのLINEグループに招待してくれた。
LINEでゆらといろいろな話をしながら宿題をしたりしているうちに、夕飯の時間になったので、急いで夕飯を作って食べ、それから掃除をしたりお風呂の準備をしてお風呂に入ったりした。
するとほどなくして、
「ただいま」
「おかえりなさい」
(今日はお母さん、機嫌よさそうだ。疲れてはいるみたいだけど)
深優はほっとした。
「ごはん、食べる? 今日はカレー作ったよ」
「先にお風呂に入ろうかな。カレー、温めておいてくれる?」
「うん」
カレーを温め、ごはんの上にかける。
お風呂から出た真央がごはんを食べ、深優は真央が食べ終わったお皿を洗う。
(今日のカレー、おいしく出来た! ゆらちゃんが『うちのカレー、隠し味にチョコレート入れているんだよ』って教えてくれたから、チョコレートを一かけら入れたんだ。だからいつもよりおいしく出来た気がする)
「お母さん。わたし、洗い物も終わったし、もう寝るね」
「んー」
真央は相変わらず、スマホから目を離さずにそう言った。
でも、深優はいつもみたいに仄暗い気持ちにならなかった。
(お母さんはお母さん。わたしはわたし)
布団に入りながら、一日の出来事を思い返した。
(ゆらちゃんとおしゃべりして、それからクラスにも友だちが出来て。小テストもいい点数だった)
(それに! LINEグループに入れた! すごく嬉しい)
深優は布団の中でスマホを開いた。
そして、今日のゆらとのやりとりを何度も読み返す。
(ゆらちゃんとのLINEのおしゃべりも楽しかった!)
(そうだ。このこと、心音ちゃんに報告したいな。きっと喜んでくれるよね)
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