ネットの地図サービスで、思い出の場所を検索してみたことから蘇る、幼き日々。そこに在った光景は、どんなものであったのか。そこで目にした記憶は、はたして正しかったのか。あらゆる情報を識る情報サービス、それは現代における『禁断の書』なのかも知れない……。
幼い頃の夏休み、まるで夢のように贅沢で、どこか現実感のない日々。けれど、それがあまりに完璧だったからこそ、その裏に潜んでいた異変に気づけなかったのかもしれない――。記憶の断片をたぐるように進む静かな語り口が、じわじわと底知れぬ恐怖を呼び覚まします。Google Mapsという現代的な仕掛けも絶妙で、ノスタルジーがホラーに変わるその瞬間、ふと、自分の記憶を点検したくなりました。過去と現在、現実と記憶の境界が曖昧になる感覚……今目にしているこれも、はたして……。
主人公がグーグルのストリートビューをきっかけに過去を思い出すという作品です。その思い出した過去の記憶の描写が不気味で恐かったです。