第3話 裏切り



(え……待って、どういうこと……?)


スマホを握る手が小さく震えた。

胸の奥が、じわりと冷たくなっていく。


(今までの書き込み、全部……私のこと?)


目を疑いたかった。

でも、もう疑う余地なんてなかった。


親友——そう思っていた。

心から信じていた相手。


まさか、こんなかたちで裏切られていたなんて——。


私は、信じたくない気持ちだけで、全ての投稿を読み返した。


「こいついらなーい」


そう書かれた投稿には私の写真が貼り付けられている。


「こいつ咳がうるさい。喘息かなんか知らんけどうっとおしい」


また、そこにも私の写真が貼られていた。


(……やっぱり。私のことなんだ)


全身から血の気が引いていく感覚。

だけど、涙は出なかった。


悲しいとか、悔しいとか、怖いとか——

そんな単純な言葉では片付けられない。


苦しみと、怒りと、絶望と、

どこにもやり場のない感情が、私の中でぐちゃぐちゃに混ざっていた。


(こんなの……一人じゃ、耐えられない)


私は誰かにすがりたくて、

彼に電話をかけた。


——でも、彼は出なかった。


何度かけても、コール音だけがむなしく響く。


(なんで……出ないの……?仕事、今日は休みのはずなのに……)


私は親友に今すぐ問い詰めることも出来なかった。


言葉が出ない。

怒ることも、責めることも、泣くことすら、できなかった。


ただ、心の奥がじわじわと裂けていくような感覚だけが残って


私の心は、もう……ずたずただった。


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