第2話 すべての始まり 2



彼女の裏アカウントは、つい4時間ほど前にも更新されていた。


「飲みからの帰り〜くっそ楽しかった!!」


そんな投稿だった。


彼女が今夜、幼馴染と飲みに行くと話していたのを思い出す。

(おー、楽しめたみたいでよかったー)

私はそう思って、なんとなく安心していた。


最近の投稿は、

「楽しい」とか「面白い」ばかりで、

(なんだ、裏垢じゃなくても投稿できそうな内容じゃん)

なんて笑いながら、私はスクロールを続けた。


——その時だった。


「あーーまじこいつうぜーわ。てかこいつと会うってなると本気で萎える。」


……ん? 誰のことだろう。


(嫌いな人でもいるのかな?)


軽い気持ちで過去の投稿をたどっていく。


そこには似たような“誰か”への悪口が並んでいた。



「なんもできない奴だよなーほんと。」


「一緒にいても楽しくないねー。」


「人生楽しんでない奴といると、こっちまで萎える。」


「とりあえずうざったい。」


「こいつちょっと可愛いからってなんなんだよ。

一緒に歩きたくねーっての。まず離れてくれ、うっとうしい。」


最後の書き込みには、1枚の写真が添付されていた。


(誰だろう?)


私は何も考えずにタップした。



表示された写真を見た瞬間、

心臓が、ドクンと大きく跳ねた。


(……え?)


そこに写っていたのは——

紛れもなく私だった。


彼女の書き込みと一緒に、私の笑顔が無防備にさらされていた。


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