第31話

 5日間かかった依頼が終わり街に帰った。

 家に帰るとフレイさんがいた。


「まだ、いてくれたんですね。パンは乾いて野菜もお肉も傷んでいたでしょう?」

「ええ、そうね、お帰りなさい」

「フレイさん、怒っています?」


「怒ってないわ。どこに行っていたの?」

「まさか、私の事が気になってここに残ってくれたのですか?」

「もう、そういうのはいいわ。どこに行ってたの?」

「依頼で、王都まで」

「ふ~ん、どんな依頼なの?」


 この街で評判になっているクラフが作った媚薬を王に献上していた。

 他言無用と言われている。


「他言無用なので正確には言えませんが、緊急のお使いが一番近い表現かと」

「シンシは賢者だものね、仕方ないわ」

「もし、あれでしたらフレイさんがこの家に自由に入れるようにフレイさんの魔力登録をしませんか?」


「そ、そこまでは、来ないわよ」

「そ、そうですか、残念です」

「来て欲しかったの?」

「ええ、毎日来て欲しいくらいです」


「私ね、媚薬とお酒のせいなのか、2人で1つになって、気持ちよかったの」

「それは良かったです」

「でも、ブレインネルの言葉を思い出していたわ。クラフとシタのは媚薬のせいなのか分からなくなったって言ってたでしょ?」

「ありましたね」


 私は即座にあの時の言葉を思い出した。


『そこで初めて、シタの。凄く、良かったわ。その後にクラフが私に謝ったわ。でも、ふと思ったの。あの気持ちよかったのは媚薬のせいなのか、分からなくなったのよ。でね、色々話をして、またシタの、今度は媚薬無しで』


「それでね、私も気になってきたの」

「それは、つまり、媚薬もお酒も無しでまたセ○○スをしましょうと、そう受け取っていいですか?」


「そ、そうよ!」

「シマしょう、今すぐに」


「ま、待って! 体を洗わせて!」

「では一緒に入りましょう」

「そ、それは嫌よ」


「そんな! またスルのに一緒に体を洗うのは嫌、理解できません」

「そ、そんな事したら、もう付き合っているのと同じじゃない」

「付き合えば、いいのでは?」

「ちょ、ちょっと、頭を撫でないで。だ、ダメよ。次で終わりなんだから」


「ですが2人のセ○○ス、その相性が良ければ付き合う事になるかもしれません」

「そうは、ならないはずよ。媚薬が、よかったのよぉ」

「分かりました。体を洗って来ましょう」

「ええ」


 フレイさんが小走りに去って行った。

 凄く、可愛らしい。

 まるで無垢な少女のような心を覆い隠す為に声が大きくなる所がいい。

 私の妄想でフレイさんが気持ちいいように見えていたわけでは無かった。

 それが嬉しい。


 フレイさんがお風呂から上がると目を逸らしながら小さな声で言った。


「お風呂、いいわよ」

「必要ありません、クリア」


 汚れを一瞬で浄化した。


「……ずるいわ」

「そう、言われましても」

「何で私が体を洗う時に何も言わなかったの?」

「心の準備もあるかと思いました」


「そうだけど!」

「申し訳ありません」

「あ、謝らないで。別にシンシは悪くないわ」

「いえ、フレイさんに恥じらいを与えてしまった、ふぐふぐ」

「い、言わなくていいわ、分かったから!」


「言っておくけど、媚薬無しだと気持ちよくない、それを確かめたいだけよ」

「分かりました。私は前回より手加減弱めで行きます」


 私はフレイさんの服を脱がせた。

 そしてお姫様抱っこをしてベッドに運ぶ。



 ◇



 長い間抱き合った。

 フレイさんが寝てしまうまでずっと。

 フレイさんは媚薬無しでもとても敏感だった。


 前回のように手加減はせずに抱いた。

 しかし、魔眼は使わなかった。

 ベッドの上で魔眼を使うのは恥ずかしさがあった。

 私は繊細なのだ。


 フレイさんは私の動きに面白いほどよく反応してくれた。

 あの反応は、流石に気持ちよかった、はずだ。


「う、う~ん」

「フレイさん、おはようございます」

「え、ええ、おはよう」


「気持ちよかったですか?」


 フレイさんがシーツを被って顔を隠した。


「……気持ち、良かった」

「私と付き合って下さい」

「う、うん」


 ついに念願の言葉を聞けた。

 嬉しさで心が震える。


「感動しています。フレイさんは私のハーレム1人目です」

「……ハーレム?」


「ふ、フレイさん、起き上がって大丈夫ですか? 生れたままの姿で、あ、あられもない姿を見せていますよ? その笑顔が怖いです。な、何故杖を浮かせて、持ったのですか? ここは室内です。魔法はいけません」


「この白い壁は魔法でも丈夫なんでしょう?」

「し、しかしマナーがあります」

「何がハーレムよ! ふざけないで! ファイアボール!」

「ぐっふぉお!」


 私は壁に吹き飛ばされた。


「やめましょう、落ち着いて話をしましょう。付き合う、それで決定、何も問題はありません」

「そうよねえ、私程度のファイアボール1発じゃ効かないわよねえ? だってシンシは賢者だもの!」


「落ち着いてください!」

「ファイアボール! ファイアボール! ファイアボール! ファイアボール!」

「あああああああああああああああ!」


 私は連続でファイアボールを食らった。


「はあ、はあ、はあ、はあ、何で、あんたは変態紳士なのよ!」

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