第30話
フレイさんは紙袋を持っていた。
お酒の瓶がはみ出ている。
夜になったせいかムラムラしてしまう。
「……」
「椅子に座っていい?」
「どうぞ」
「……」
「……」
「シンシ」
「何でしょう」
「あんたって、変態よね?」
「そうかも、しれません」
「そうなのよ。炎竜の杖を餌にパンツを見ながらコーヒーブレイクを楽しもうとしたり、杖に跨って飛ぶとパンツを見ていたり、変な妄想ポエムを始めたり、あんたは変態なのよ」
「ええ、自覚はあります」
「そうよ、変態よ。でも、紳士でもあるわ。私を抱きたいのに何度も何度も我慢しているわ」
「分かりましたか」
「ええ、顔を見れば分かるわ。特に最近のシンシはファイアボールの訓練中に息が荒いのよ。それに体が熱いわ」
「ええ。否定はしません」
「変態紳士、私は、今でもあなたの事がよく分からないわ」
「それも良く言われます」
「でもね、お世話になっているとも思っているわ」
「……」
「だからね、お礼をしたいの。シンシ、私を1日だけ、好きにしていいわ」
「好きに、そんな事を言われれば私は1日中フレイさんとセ○○スをしてしまいます」
「ええ、私が、1日だけ変態になってあげる。同じ変態なんだから、変な事をしてもいいわ」
フレイさんが紙袋からお酒を取り出した。
「私がお酒に弱い事は分かったわ。だから、私に好きに飲ませていいわ」
そしてフレイさんは更に紙袋からビンを取り出す。
「媚薬よ、ブレインネルから買ったわ。これも好きに使って」
フレイさんが魔女服を脱いで椅子に置いた。
「下着だけの姿よ。それとも脱がせるところからスル方が良かったかしら?」
「はあ、はあ、はあ、はあ、フレイさん、出来るだけ我慢して力をセーブしますが、もう我慢できません」
「いいわ、シンシ、来て」
フレイさんが両手を前に差し出す。
私はフレイさんの下着を脱がせて媚薬を体に塗った。
フレイさんからあふれ出る声で理性が飛びかける。
それでも私は力をセーブしてフレイさんに優しく抱く。
◇
丸一日、シタ。
ベッドから起きあがる。
フレイさんは疲れて眠っている。
散乱した媚薬のビンと酒ビンを片付ける。
凄く、物凄く良かった。
フレイさんの体はしっとりしていてまるで体に張り付くようだった。
男性の体には無い柔らかな感触、
温かいぬくもり、
媚薬で目がとろんとして全身が酔ったように赤くなったあの姿、
その後更にお酒を飲ませると更に乱れて、
そして普段のフレイさんなら出さない濡れて切ない声、
1つになる度にビクンビクンと反応するあの可愛らしさ、
良かった。
本当に良かった。
途中で体に力が入って何度も本気で動きてしまいそうになった。
でも何とか紳士の心でゆっくりと動くように修正した。
フレイさんは媚薬とお酒が入った状態で本気で抱いてしまうと中毒にしてしまいそうに思えた。
何度もフレイさんを中毒にしてしまいたいと思いそれに抗った。
『シンシ、私を1日だけ、好きにしていいわ』
1日だけ、
たった、
1日。
行為が終わるとむなしさが込み上げてきた。
「もう、終わりなんですか? もっと……」
私は眠るフレイさんに向かって無意識に右手を伸ばしていた。
そしてその手を左手で押さえつける。
私は片付けを終わらせて外に出た。
外の空気を吸いたい気分だった。
「グラン、いえ、シンシでしたね」
年老いた紳士が私に声をかける。
私に紳士道を教えてくれた方だ。
「はい、何でしょう」
「実は、領主様からお願いがあります」
「……分かりました」
領主様、そして執事さんにはお世話になっている。
断る理由はない。
「今、大丈夫ですかな?」
「……大丈夫です」
「元気が無いように見えました」
「体は、元気です」
「そうですか、実は……」
私は家に手紙を置いてから領主様の元へと向かった。
◇
【フレイ視点】
目が覚めるとあの夜を思いだす。
私からスル事を持ちかけた。
……でも、凄く、良かった。
媚薬のせい?
それともお酒?
私はベッドの上で乱れた。
あまりにも狂う私をシンシは手加減をしながら抱いた。
まるで我慢するように。
それでも良かった。
私は、
シンシの動きで仰け反って、
シンシの動きでよだれを垂らして、
シンシの動きで聞かせたくない声を口から出して、
シンシの動きで体液を溢れ出させていた。
シンシに、手加減されるなんて、しかも我慢して手加減している顔だった。
……なんか、むかつくわ。
あの性欲の塊みたいなシンシに手加減されるなんて。
そう思わせるほど乱れてしまうなんて。
シンシはどこに行ったのかしら?
起き上がって服を探すとしっかり洗濯されていた。
濡れた私の下着まで見られたの?
服を着てテーブルを見ると紙が乗っていた。
何か書かれている。
『依頼が出来ました。食べ物を置いていきます、自由にお風呂もシャワーもサウナも使ってください。家を出る時は魔法陣に乗ってダンジョンから出るのと同じです』
そうだった。
あいつ3強の賢者だった。
いつ、帰って来るのよ?
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