第18話
白い雪玉のパーティーは2日間レッドテンタクルを狩り続けた。
みんなすっかり慣れて今ではほとんど体液を浴びずに倒せるようになった。
「お疲れ様です。今日もレッドテンタクルのダンジョンを出て川で水浴びをしましょう」
「……」
「どうしました?」
「魔法で水を出す事も出来るの?」
「それは水魔法で洗って欲しいと、そういう事でしょうか? 断られると思っていましたがもししたいなら言って下さい。水魔法でフレイさんの芸術品のように美しい体を洗う事でその体のラインをしっかりと記憶、いえ、弾力さえも手で触るように知ることが出来ます。さあ、今すぐにはいと言いましょう」
「や、やるとは言ってないじゃない」
「ですが万全を尽くす事も必要と思います」
「次は解体でしょ!」
「そろそろ解体をしたいです」
「そうですね。明日はキャンプをしながらレッドテンタクルの解体を行います。売れる素材は粘液袋です。人によっては体液袋とも言いますがそれを取り出します」
「それで何を作るの?」
「女性が飲んだり体に塗る事で媚薬、男性には強壮剤になります。フレイさんに使てみたいものです」
「い、いやよ」
「アイテムには興味があるわ。でも気になったのは男性は強壮剤なのよね? レッドテンタクルの体液を浴びてもそうなるの?」
「ええ、ですが強壮剤は一時的にステータスをアップさせますが体力を消耗します。強化と言えば強化ですが、時間差では弱体でもあります。それにレッドテンタクルは男性は即殺しにきます」
「まだ殺されないだけ女はマシなのね」
「そういう見方も出来ますね」
「早く体を洗いたいわ」
「一緒に行きましょう。私が隅から隅まで洗いますから」
「ブレインネル、見張ってて」
「分かったわ」
「残念です」
「私もフレイちゃんといっしょに水浴びしてきます」
2人が川に向かうとブレインネルさんと焚火を囲む。
「シンシ、感謝してるのよ」
「ありがとうございます」
「少し、自信が出てきた」
「それは良い事です。納品をすればもっと自信が出ますよ」
「なんでよ?」
「レッドテンタクルの粘液袋は高く売れます。いつも媚薬は足りていないので」
「そう言えば、媚薬は高かったような。私達を訓練してくれて、お金を手に入れる方法を教えてくれて、ダンジョンに付いて来てくれて、孤児院にも寄付をしてるでしょ?」
「そうなります」
「頭がいいのにどうして言ってはいけない事を言うのか分からないわ。人なら誰でもいやらしい事を考える。シンシがその内面を言わないでいれば、きっとフレイと付き合う事が出来ていたと思うわ」
「言いたい事は分かります。ですが私のエロスは抑えきれない所まで膨れ上がっています。そのエロスはもはや口に出さなければ今すぐにフレイさんを押し倒してしまうほどに強力です」
「そっか、私もそういう部分はあるから、シンシは1人でもその欲望を発散できる誰かがいればきっとまともになると思う」
「それは、フレイさんとの仲を協力してくれると、そう取ってもよいですか?」
「何でもは協力出来ないけど、フレイが本気で嫌がらない程度には協力するよ」
「ありがとうございます!」
「でも、内緒よ?」
「ええ、墓場まで持っていきます」
「ははは、私も、いい人作ろうかな」
「いいと思いますよ。気になる方がいれば協力します」
「ありがとう。ニナを見てると、彼氏っていいなあって思うんだよねえ」
「分かります。ニナさんからフレイさんに置き換えて色々と妄想してしまいます。興奮する想いが止まりません」
「頭が良すぎると、想像力が凄そうね」
「ありがとうございます」
交代で水浴びを済ませ食事の用意をした。
「正直に言うとフレイさんのお皿に媚薬を盛りたい気持ちが頭から離れませんでしたが、その想いを何とか断ち切って料理を作らせていただきました」
「やめなさい」
「さあ、お召し上がりください。たっぷりの貝類と野菜とチーズを煮込んで更にウインナーを入れたスープとパンです」
「美味しいです」
「本当、美味しいわ。フレイも食べましょう」
「一応聞くけど、変な物は入ってないわよね?」
「入れていません」
「大丈夫ですよ、シンシさんはそういう事はしません」
「そうよ、皿、交換する?」
「いいわ、いただきます、本当にいつも美味しい」
「胃袋を掴んで私の料理無しでは耐えられないようになる姿を想像して我慢します。もし私とセ○○スをしたいと言っていただければすぐにでもシマしょう」
「……今はゆっくりさせて」
「スローセ○○スならいいと、そう受け取ってもいいですか?」
「意味が分からないわ!」
「黙って食べましょう」
食事を終えるとブレインネルさんとニナさんが眠った。
2人だけで焚火を囲む。
「眠れませんか?」
「……ええ、もっと魔力を使えばぐっすり眠れるかもしれないわね」
「では、ファイアボールを撃つ訓練でもしますか?」
「森や草原を燃やしちゃうわ」
「大丈夫です、いつも横に撃っていますが花火のように上に撃てばいいんですよ。私も魔力は有り余っているのでフレイさんに魔力を注いで訓練をしたいです」
私は膝をついて手を差し出した。
その手をフレイさんが優しく握った。
その差し出された手に感動する。
フレイさんの態度が軟化しているのか、私の妄想が都合よく解釈しているのか自分でも分からない。
しかし、ブレインネルさんを助けた事が良かったようには思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます