第17話

 ギルドに帰り当然のようにフレイさんの隣に座った。

 フライシャドーさんもニナさんの隣に座っている。


「おいおい! 俺を無視とは意地が悪いな」

「スラッシュさんは酔っていたようなのでお声はかけていません」

「はっはっは、聞かせろ、何があった?」

「実は……」


 私はブレインネルさんの悩みを背説明した。



 ◇



「ブレインネル、気にし過ぎだ。俺からすればお前ら全員そこまで変わらん」

「でも、ニナだってみんなを回復して貰った金貨を私達3人で分けているわ」


「実は案はあるんです」

「紳士、あるなら早く言えよ」


「ブレインネルさんが悩んでいるきっかけはファイアボールの威力が素晴らしいフレイさんとの魔法威力の差から始まっています。ですが炎属性が有効ではないモンスターもいます」

「他のダンジョンに行かせるか、だが、最初はゴーストのダンジョンに慣れてからがいいだろ」


「ええ、私もまずはゴーストのダンジョンに慣れた後、次のステップとして他のダンジョンに行く、そう考えていました。理由はこの街に来てまだ慣れていない皆さんの負担を増やすと考えた為です」

「俺は、そろそろ、次に行って、いいと思う、もちろん、護衛、有りでだ」


「はい、1つの狩場だけで活動すると悪い部分がいくつか出て来ます。モンスターの狩りすぎによるモンスターの減少、パーティー間の負担の偏り、そして他の冒険者がゴーストのダンジョンに来るようになった際にモンスターの取り合いが発生しかねません。そして同じことの繰り返しになると飽きてしまいます。なので冒険者は出来る事なら3つ以上の得意なダンジョンを開拓すべきです」


「いいじゃねえか、ただ問題は、どのダンジョンを選ぶかだ」

「そうです、白い雪玉は魔法使い2人、ヒーラー1人、かなり偏っています。魔法が有効でしかも炎魔法ではない属性が有効、そして3人だけで素材を回収して帰ってくる事が出来るモンスターのいるダンジョンがいいですね」


「なら、モンスターの肉を取ってくるようなかさばるモンスターは駄目か」

「戦士やシーフが、嫌がり、ニナが輝く、状態異常を使う、モンスターか」


「はい、該当するのはレッドテンタクルのダンジョンです」

「……あれか、確かに氷が効く、戦士やシーフはやりたがらない。男と女のパーティーで行くとよく揉める。だが、お前の好感度は下がる、俺にとっては都合がいいがな」


「フライシャドーさんはどう思いますか?」

「構わない、ニナが、行きたがっている」

「ブレインネルちゃんが輝くダンジョンに行きたいです」


「わ、私も行くわ」


「みんな、ありがとう」


 こうして、明日から泊まりでレッドテンタクルのダンジョンに行く事が決まった。



 ◇



【次の日】


 ダンジョンに入り沼地を進むとダンジョンへと続く魔法陣がありそこに入った。


「……中も沼地なのね」

「はい、汚れる事は覚悟して下さい、ですが素材は高値で売れます」

「レッドテンタクル、どんなモンスターなのかしら?」

「私、昨日調べてきたわ。イヤなモンスターよ」


「いましたね、あれです」

「き、気持ち悪いです」


 人と同じくらいの大きさがある赤い肉のボール。

 そのボールからいくつもの触手が出て蠢いていた。


「倒すにはコツがいります。最初は私が倒します。アイスニードル!」


 氷の杭を発射しレッドテンタクルを貫いた。

 体液をまき散らしながら暴れると動かなくなった。


「うん、レベルが違いすぎて参考にならないわ」


「終わりです。この後解体もありますが、後にしましょう。次が来ました。やってみましょう」


 2体目のレッドテンタクルが現れた。


「フレイさんのファイアボールでレッドテンタクルの意識を集めましょう。その隙にブレインネルさんのアイスニードルを当てるイメージで戦いましょう」


 レッドテンタクルが怪しい紫色の霧を発生させる。

 

「あの霧を吸い込んでしまえば女性は発情の状態異常にかかります! 接近するのは危険です!」

「でも動きは遅いわ! ファイアボー、うわ!」


 フレイさんが突進攻撃を避けた。


「動きが遅いように見えますがたまに触手で地面を弾いて一気に距離を詰めてきます!」

「そ、そんな、ふ! ファイアボール!」


 フレイさんが後ろに下がりながら炎の玉をレッドテンタクルに当てた。

 だが効きが悪く、発情の霧を吸い込んで転倒した。


「く、はあ、はあ」

「足場も悪いです!」


 レッドテンタクルがフレイさんと距離を詰める。


「ふう! はあ、はあ」

「アイスニードル! アイスニードル! アイスニードル! アイスニードル!」


 レッドテンタクルが体液をまき散らしながら暴れて動きを止めた。

 フレイさんがレッドテンタクルの体液を浴びた。


「ひゃあ! はあ、はあ、ん、ああ、はあ」

「倒した?」

「ええ、倒しました」


「はあ、はあ、失敗、したわ。フレイ、ごめん」

「い、いいわ」

「いえ、上出来です」

「回復します。リカバリー」


「回復ありがとう、あれ? また体が熱くなって、きた、はあ、はあ」

「はい、回復魔法で癒しても、また体液がしみ込んでくればまた状態異常になります」

「そ、そんな! 沼に、入れば」

「ヒルがいます」

「な!」


「まずは体を拭きましょう」

「え、ええ、はあ、はあ」


 私はタオルを渡した。


「私も拭きましょう」

「だ、大丈夫よ」


 フレイさんがスカートの中にタオルを入れて拭いていく。


「代わりのタオルはたくさんありますから、レッドテンタクルは1体だけでも強いです。なので何度も戦って勘を掴みましょう。慣れてしまえば楽に倒せるようになりますが、その慣れるまでに何度も数をこなす必要があります」

「何で、戦士とシーフが戦いたくないか分かったわ。発情の体液を浴びたくないもの」


「ええ、さあ、タオルを返してください」

「あ、後で洗って返すわ」

「お構いなく、私に任せてください」

「構うわよ」

「ではどんどん私に構ってください」

「そう言う事じゃ、また、レッドテンタクルが来たわ」


 レッドテンタクルが現れると私はフレイさんが使ったタオルを回収し収納魔法に入れる。


「ファイアボール!」

 

 レッドテンタクルにファイアボールがヒットするとフレイさんに向かってバウンドした。

 レッドテンタクルが着地したその瞬間。


「アイスニードル! アイスニードル! アイスニードル! アイスニードル!」


 レッドテンタクルがアイスニードルを受けて体液をまき散らした。


「ふぁ!」


 フレイさんがまた発情する。

 そして触手が伸びてフレイさんを捕らえた。


「まだです! フレイさんの後ろに回り込んでアイスニードルです!」

「ああ! やめ、ふぁ! おん!」


 フレイさんが触手に拘束されて体液を擦り付けられる。

 その姿に興奮する。


「アイスニードル! アイスニードル!」


 レッドテンタクルが暴れて体液をまき散らし、動かなくなった。


「課題が見えてきました。フレイさんは位置取りの改善、そして足場が悪い場所でも立ち回りや素早い動きを心がけしましょう。杖にまたがって飛べるならその方が良いかもしれません」


「……はあ、はあ、飛ぶわ」

「いいと思います、タオル、使いますか?」

「はあ、はあ、ええ」


「今日は、レッドテンタクルを何度も狩りましょう」

「はあ、はあ、シンシって、結構スパルタよね」


「そうですか? ですが実践ほど成長出来る機会はありません。ブレインネルさんに自信を持ってもらう為には必要ですよ」

「わ、分かって、いるわ、はあ、はあ」


 この後白い雪玉の3人は何度もレッドテンタクルを狩った。

 フレイさんはおとり役の為に杖にまたがって飛んだ状態で何度もレッドテンタクルの体液を下から浴びた。

 つまりパンツと太ももに発情の体液を何度も浴びたのだ。



 フレイさんはブレインネルさんを助ける為弱音を吐くことなくおとり役をやり続ける。

 優しいその心。

 魅力的な太ももとパンツのライン。


 フレイさんは素晴らしい。

 やっと杖で飛んでくれた。

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