1000億人目のギフト
五來 小真
【本文】
「おめでとうございます。あなたは1000億人目の帰還者です」
唐突にそう言われ、私は頭から煙を吐く自分を想像した。
「1000億人目の特典として、次の転生で特別な才能が付与されます」
小説家を目指したが、結局花開くことはなかった。
才能がなかったのだ。
そのために、お金にはずっと不自由することになった。
小説を愛し、その人生に間違いはなかったと思う。
だが、もしももっと前に見切りが付けられていたなら、違う人生があったとも思う。
「で、その特別な才能とは?」
「お答えできません」
私の当然の質問は、冷酷な答えに阻まれた。
そして私は、そのまま転生することになった。
バカらしい。
才能は、運がなければ見つけられないのだ。
それどころか、勘違いしてしまうこともある。
前世の私がそうだった。
であるなら、特別な才能などは忘れ、今度の人生は普通に生きるか。
「例の1000億人目、せっかく特別な才能を与えられたのに、探そうともしてません」
「ああ、それでいいんだ。上手く使ってるじゃないか」
「上手く使ってる? 先輩、1000億人目って、何の才能を与えられたんです?」
「『悟り』だよ」
<了>
1000億人目のギフト 五來 小真 @doug-bobson
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます