第4話 やらかし Part.2
「ん、んん....」
一体どれくらいの時間が経ったのだろうか。意識が浮上すると同時に、全身を締め付けるような痛みに顔を歪めた。重い瞼をゆっくりと開けると、目に映ったのは無数の木々の葉と、そこから漏れるまだらな陽の光だった。
ここは…森の中か。
...え?
乾いた土の匂いと、草木の青い香りが鼻腔をくすぐる。背中には硬い地面の感触が伝わってくる。見上げると、木々の間から見える空は、うっすらと夕焼けの色に染まり始めていた。
なんだっけ。最後に覚えているのは、コンビニの騒ぎだった。強盗の怒号、おばちゃんの悲鳴、そして、腕に走ったあの鋭い痛み。それから…どうなったのだろうか?
自分の左腕に手をやると、何やら赤い包帯のようなものが巻かれているのを感じた。血の匂いは微かにもしない。どういうことなんだよ。
とりあえず、起きるとするか。よいしょ......ってくそ痛てぇ!!
体を起こそうとしたが、激しい痛みが全身に走り、呻き声を上げた。特に腹部と左腕の痛みが酷い。一体何があった?なぜ、俺はこんな場所に?
周囲を見回しても、人気はない。聞こえるのは、風に揺れる木の葉のざわめきと、時折聞こえる鳥の鳴き声だけだ。コンビニの近くにこんな深い森があっただろうか?
朦朧とした意識の中で、様々な疑問が浮かんでは消えていく。もしかして、強盗に襲われた後、どこかに連れてこられたのだろうか?それにしては、この包帯というものが謎で仕方ないわ。
てかよく見ると、俺違う服じゃん!!俺、服の知識めっちゃあるから具体的にいうと.....。白のノースリーブインナーが基本的かな?胸が見えてるし....。さすが異世界転生、鍛えられてるー。
首元に
てか、装飾品の数々も、ギコギコと音を立てるような安っぽさとは無縁。一度見たら、その精緻な美しさにスーッと引き込まれるような魅力がある!!原◯とは違います。矛盾テレショップとも違います。あー分析疲れた。あー分析疲れた。二度言ったかんね!?
でも、この俺が異世界転生かぁ。じゃぁ、ステータス見れるはず。確か、左手を広げれば....よし、見れる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前: ガルク・アリア(世田谷和人)
年齢: 18歳(見た目は20歳くらい)
種族:
地位: 聖剣の勇者
【能力】
攻撃力: 100000000/100000000
防御力: 850000000/850000000
魔力: 9000000/10000000
俊敏性: 8000000/10000000
知力: 880000000/1000000000
回復力: 75/100
【スキル】
・ブラック=ライア
・鳥獣のデリフキー
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ダニィ!?変わって....ない...だとぉ!?俺の夢の中でのステータスと同じじゃないかぁ!!俺のHPも、MPも、スキルも魔法も....全然変化してねぇ....。なんだこれは...。
いや、待て。獣人のところがない。ということは、そこだけ変化してない...ことだもんなぁ!!よっしゃぁーー!!
いやー何になったんだろ。まさか前と同じ獣人とかないだろね。まさかなるとしても次は猫がいいなぁ。あはは。これがフラグだったりして。
まさかね。まさかねぇ!!??はい、おいこら、筆者今いるんでしょ!?読者今みてんでしょ!?はよ、俺を猫の獣人にしろやぁ!!!
おい、そこのおまえ。
え?....できない?
ハァ〜あ、それで俺のこと
(CV.天の声 [あんごら]:あらあら、ガルクちゃんが私たちに理解不可能な方法で拗ねちゃったみたい。これを「理不尽」ていうんだよ。みんなーこの時、どーすればいいかわかるかな?以下の記号から答えてみよう!)
【選択肢】
A. 獣人になっていることを教えるための巨大な縦型の鏡
B. ガルクちゃんが大好きなモンブラン
C. お金(1000万円)
1分後。
(うーん、これは難しいね。みんなの答えをまとめたから早速みてみよう!!)
【選択肢】
A. 獣人になっていることを教えるための巨大な縦型の鏡
B. ガルクちゃんが大好きなモンブラン
C. お金(1000万円)←みんなが集まった答え
ピコーン!!
(そうだね!お金だね!!タイムイズマネー!!ライフイズマネー!!みんなも大人になったらこうなるから覚えていてね。さぁ、ガルクちゃんがどのようになったのか早速みてみよう!!)
どさっ。
.....ちらっ。わーい、お金だぁ!!お金だぁ.....じゃねぇよ!!多少は嬉しいんだけどよぉ!!俺を獣人にさせてくれって言ってんだろ!!!はよお!!
(あらあら、多少なお金で片付かないなんて。よっぽどガルクちゃんは駄々こねてるね!!じゃぁ、お金じゃないならみんなはどれがいいと思う?)
カチッ。
A. 獣人になっていることを教えるための巨大な縦型の鏡 ←みんなが集まった答え
B. ガルクちゃんが大好きなモンブラン
C. お金(1000万円)
ピコーン!!
(じゃぁ、早速どうなったかみてみよう!)
どさっ。
....ちらっ。ヤッタァ、やっと鏡ダァ!!
俺は待ちかねたように鏡に駆け寄り、自分の姿をじっくりと見つめた。
「……おおっ!」
鏡に映る自分の姿を捉えた瞬間、ガルクちゃんの瞳は大きく見開かれた。
「……おおっ!」
と小さく息を呑む音が、静かな空間に響く。
そこに映っていたのは、紛れもなく彼が夢にまで見た猫の獣人の姿だった。
みんな〜やったよぉ!!やっと猫の獣人になったんだぁ!!頭の上には、温かそうな毛で覆われた、ピンと立った可愛らしい猫耳が二つ。その動きに合わせて、ぴくり、ぴくりと愛らしく揺れている。背中からは、しなやかで美しい黒い尻尾が、まるで生きているかのように、ゆったりと揺れていた。その先端は、ちょっぴり丸まっていて、触ってみたらどんな感触がするのだろう、と想像力を掻き立てる。
そして、何よりも目を引いたのは、顔つきの変化だった。元の愛らしい雰囲気はそのままに、どこか
俺は、鏡に釘付けになり、信じられないといった表情で自分の姿をじっと見つめている。まるで、そこに映る自分が、本当に自分なのかどうかを確かめているかのようだ。指先をそっと伸ばし、恐る恐る自分の耳に触れてみた。温かく、柔らかい感触が指先に伝わり、それが現実なのだと、じわじわと実感が湧いてくる。
「やった……!本当に獣人になれたんだ!私はぁ....こん....こんグワッァハァハァハー!!!」
俺は目をキラキラと輝かせると同時に泣くという、いかにも常人がやることではない行動をしながら自分の耳をぴくぴくと動かしたり、尻尾をぶんぶんと振ったりした。へー、耳ってこんなに動くんだぁはぁはぁ!尻尾も思ったよりずっと長いねぇえぇぇヘェヘ!!
俺は嬉しさを隠しきれない様子で涙を噴くと、鏡の前でくるくると回り始めた。
「ふふん、どうだ!かっこいいだろ!」
少し得意げな表情で、鏡の中の自分に話しかけている。今思えば、いかに俺が変態だったかということに羞恥心が湧き上がってくる。
(よかったね、ガルクちゃん!やっと念願の獣人になれて、本当に嬉しそうだ!それでは今日はここまで、明日も一緒にクイズでもしようね!!)
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