第4話 桜の下の少女の独白

三津原詩織視点


詩織は放課後になると帰りの支度をして教室を出ようとするとクラスメイトに声をかけられる。

 

「三津原さん今からカラオケに行くんだけど一緒に行かない?」

「ごめんなさい今日はバイトが入っていて……」

「あ、そうなんだ、残念。」

「じゃあまた明日。」

 

 詩織は断りの言葉を返すと教室をあとにする。

 その際に部活が休みだからか帰りの支度をする悠二君に話しかける朝宮君が自然と目に入った。

 

 (不思議な人………)

 

 それが詩織が朝宮に抱いた印象だった。

 出会いは入学式の前にグラウンドで桜を見ていた時だった。

グラウンドの桜に想いを馳せて気持ちが沈んでいたときにふと視線を感じたから気になって声を掛けるとあたふたと慌てているのが面白くって、悠二君が待っているのを忘れてしまうところだった。

 

それからは朝宮君と悠二君といることが多く自然と3人で行動する事が多くなった。

 (出会って間もないのになぜか安心できる。

 うん、やっぱり不思議な人だな朝宮君)

詩織は朝宮のことを考えながら楽しそうに校舎を出てバイト先に向かう。

その足取りは普段より軽く弾んでいた。 


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