第25話 悲哀


そんな約束をしてからの翌日。

俺は時計の音と共にゆっくり起き上がる。

横に雪乃は居なかった。

布団はきっちり畳まれている。


「...」


眠いというか。

寝付けなかったな。

雪乃が横に居るだけで心臓が痛かったからな。

そう考えながら俺はリビングに行く。

すると書き置きとご飯が用意されていた。

書き置きは感謝の言葉が綴られていた。


「英二さんのお陰で全然昨日より元気になりました。ありがとう。だから学校に行きます」


そんな感じで書かれていた。

俺はその言葉に少しだけ不安を抱きながらも「活動出来たんだな」と呟きながら置き手紙を読んだ。

それから俺は手紙を畳んで仕舞い。

そのままご飯を食べた。



それから俺は表に出る。

今日は確か生徒総会があり...小テストか。

そう考えながら俺はスマホを見てから歩いていると「英二。おはよう」と声がした。

俺は声の方向に顔を向ける。


「ああ。おはようさん」

「英二...その。雪乃ちゃんは大丈夫?」

「ああ。少し元気になったみたいだ。朝から学校に行った」

「...本当に?良かった...」

「お前のお陰もある。感謝してるよ」

「私は何もしてないよ。全部英二がやり遂げたんだから。英二。誇りに思って」


俺はその言葉に頷いた。

それから「ありがとうな。美玖」と言ってから俺は美玖を見る。

美玖は複雑そうな顔をする。


「本当に安心した。本当に。私の妹になるかもしれないしね。雪乃ちゃん」

「おい」

「だってそうでしょ?私が結ばれるんだもん。英二とね」

「まだ俺は付き合うとか言ってない」

「またまたぁ」


ニコニコする美玖。

俺は盛大に溜息を吐く。

全くコイツは。

そう考えながら居ると美玖は真剣な顔になってから「まあでも冗談は置いて。良かった。本当に」と言った。

俺は「まあ確かにな」と返事をする。


「ずっと引き篭もっていたんだよね?」

「ああ。ようやっと出て来た感じだった」

「...そうなんだね」


それから俺達は学校に登校する。

そして俺達は教室に行くと「淀橋くん。戸ノ嶋」と声がした。

俺は「ああ。おはよう。御剣」と言う。

御剣は俺を見てから「おはようございます。...その。聞きたいんですけど淀橋くんは部活しないんですか?」と聞いてくる。


「今はする気はないな。辞めたばっかりだし」

「そうなんですね。実はその。文芸部に入りました。私」

「良いんじゃないか。自由にやれているんじゃないだろうか」

「はい。...もし良かったら淀橋くんもどうかなって思いました。それでお声がけしました」

「ありがたいけど俺は暫くは部活はいいや。すまないが心に傷が入っていてな」

「分かりました。すいません。では別件ですが...」


話を切り替えた御剣の顔が少しだけ心配げになった。

俺は「?」と浮かべる。

すると御剣は「雪乃ちゃんの事を聞いてしまって。大丈夫ですか」と聞いてくる。

俺は「雪乃は...お前のせいじゃない。あまり悩む必要はないと思うから」と言う。

御剣は「ですか」と言いながらも不安げな顔をする。


「...私、死神みたいですね」

「死神ね。まあ...山口のせいもあるから仕方がないと思う」

「...美鈴には今度また接触するつもりです。全くなにも安全面が確保されないので」

「しかし...」

「大丈夫です。私は」


そして御剣は「では」と言ってから立ち去って行った。

飲み物でも買いに行くのだろうけど。

俺はその姿を見送ってから美玖を見る。

美玖は眉を顰めてから御剣を見送っていた。

それから美玖は「行こっか」と言ってから教室に入って行った。



御剣が戻って来てからちょうどホームルームが始まった。

俺は御剣を見てからホームルームを受ける。

アイツは。

雪乃は大丈夫だろうか。

不安な面もあるが。

そう考えながらホームルームを終えてトイレに行く為に廊下に出る。

その時だった。


「ハロー」


そう声がした。

俺は「?」を浮かべてから声の聞こえた方向を見てみる。

そこにギャルっぽい女子が居た。

なんだコイツは。

上履きを見るなり1年生だが。


「初めまして。淀橋英二先輩」

「お前は誰だ」

「私は円谷梓(つぶらやあずさ)です」

「...ああそうか。で。その円谷が何の用事だ?」

「あれ?随分と冷たい&驚きが少ないですね」

「...今から聞こうとした。なんで名前を知ってんだ。お前」

「美鈴さんから頼まれまして。淀橋英二先輩に構ってあげてって。親戚なんです♪」


その言葉に俺は見開く。

それから円谷を見る。

円谷は「私は前世なんて信じませんが...なんか予想が当たっているしマジなのかなぁって」と言う。

俺は「...俺はお前に構う程に暇じゃない」と言いながらそのままトイレに行こうとした。

すると円谷は「まあまあ」と言いながら「これは完全に別件ですが私と付き合ってくれたら今後もそうですが今の悩みの解決の為の大ヒントを与えますよ」と言ってくる。

は?


「どういう意味だ。付き合うのは別にしても」

「ヒントをあげます。お姉ちゃんの言っている浮気相手の人物を知ってます。お姉ちゃんの言っているのは私の知り合いの可能性があるんです」

「...!」

「全ての話を纏める為に接触が今になってしまいましたが。私と付き合って下さい。私も貴方が好きなんです」

「...」

「どちらが良いか十分に検討しなければならないでしょ?先輩。護りたいですよね?雪乃さんを」

「どこでそれを知った」


それから俺をクスッと言いながら見る円谷。

胸の谷間を見せてくる。

なんなんだコイツ。

そう考えながら俺は不愉快な感じで円谷を見ていた。

コイツ...。

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