41 偶然、再会した
母が言った。
「でもまた最近増えたのよ。夕雨さんが鹿児島に戻ってきたって。定期的に、朝陽の仕事ぶりや成長を手紙で送ってくれたの。」
《鹿児島に戻り、こちらも少しずつ落ち着いてきました。実は、新しい仕事が決まったんです。そこで偶然、朝陽くんと再会しました。驚きました。……でも、嬉しかったです》
朝陽は眉を寄せた。
偶然……?本当に?
別の手紙にはこう書かれていた。
《朝陽くんの企画が初めて通ったって聞きました。嬉しくなって、思わず書いています》
《今日の朝陽くんは、とても頼もしく見えました。少し強がっているようにも思えたけど、それも、彼らしさかもしれませんね》
《会社でのプレゼン、皆から褒められていましたよ。自信の息子さんですね。私はいつも、彼の味方です》
読み進めるほどに、胸が熱くなった。手紙は月に一度、あるいはふと思い立ったときに送られていたようだった。仕事ぶり、会社での人との関わり方、少しずつ広がっていく朝陽の世界が、そこには描かれていた。
「手紙には、偶然再会したって書いてあったけどね……」
母がふと、視線を落とす。
「でも、お父さんも私も、きっと偶然じゃなかったんだろうなって思ってた。」
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