一日、百悪

@ehamamatsu

一命の悪弊

「あ、すみません…」

「おい、歩く時にちゃんと前を見ろよ…!」


悪の一つ目。歩いてたらに誰かとぶつかった。


「はぁ…はぁ…はぁ…すみません、遅れてしまって…」

「…席に着きなさい。」


悪の二つ目。学校に遅刻した。


「すみません、あの…」

「うん?なんだ?」

「お家に消しゴムを忘れたようで、その…消しゴム借りてもいいですか…?」

「ほら。返さなくていい、ったく…」


悪の三つ目。家に消しゴムを忘れた。


「**さん…**さん…!」

「は――はい…!」

「この問題を解いてみてください。」

「…すみません。」


悪の四つ目。クラスの最中に寝てた。


「…すみません、分かりません…」

「分からないのなら、寝てないでよく勉強するのですよ。」

「はい…」

「次は…」


悪の五つ目。問題を解けなかった。


「すみません、トイレ…行ってもいいですか?」

「昼休みに用を済ませなかったのですか?さっさと行きなさい。」

「はい…」


悪の六つ目。授業中にトイレに行った。


「本当にすみませんでした!」

「もっと気を付けろな…」


悪の七つ目。手洗いで誰かに水をかけた。


「ハ…ハクション!!!」

「…」

「…すみません。」


悪の八つ目。講義中にくしゃみをした。


「いた――!」

「すみませんでした…!」


悪の九つ目。下駄箱の前で誰かの足を踏んじゃった。


「それって、俺の傘じゃね?」

「すみません!」


悪の十個目。間違えて他の人の傘を取った。


記憶の重ね重ね。あやまちの重ね重ね。悪の重ね重ね。


悪の十一個目。慌しく学校を去った。

悪の十二個目。傘で誰かに当たった。

悪の十三個目。携帯を割った。

悪の十四個目。誰かの前を横切った。

悪の十五個目。横断歩道を歩くのが遅かった。

悪の十六個目。道で転んじゃった。

悪の十七個目。交通を妨害した。

悪の十八個目。人に水をはねかけた。

悪の十九個目。店の看板を倒した。

悪の二十個目。傘を壊した。


駅でも…


悪の二十一個目。図々しく走った。

悪の二十二個目。財布を落とした。

悪の二十三個目。駅員を困らせた。

悪の二十四個目。財布が見つからなかった。

悪の二十五個目。混んだ電車に乗り込んじゃった。

悪の二十六個目。人に当たった。

悪の二十七個目。車内で咳をした。

悪の二十八個目。降りたホームで水を零した。

悪の二十九個目。向かってきた人をのかせた。

悪の三十個目。石ころを道に蹴った。

悪の三十一個目。落ちてたゴミを拾わなかった。

悪の三十二個目。隣の家に入りそうだった。


家でも…


悪の三十三個目。母の大事な薔薇を踏んじゃった。

悪の三十四個目。鍵でドアを傷つけた。

悪の三十五個目。泥を家に持ち込んじゃった。

悪の三十六個目。洗濯を適当にした。

悪の三十七個目。皿を洗うのに時間がかかった。

悪の三十八個目。皿を割った。

悪の三十九個目。請求書を払うのを忘れた。

悪の四十個目。洗濯済の服を汚した。

悪の四十一個目。トイレを詰まらせた。

悪の四十二個目。宿題をしなかった。

悪の四十三個目。鍵を家の中に置き忘れた。

悪の四十四個目。電気を消さずに家を出た。

悪の四十五個目。ご近所さんに挨拶しなかった。

悪の四十六個目。水たまりで滑った。

悪の四十七個目。誰かに助けてもらった。

悪の四十八個目。人に道を案内できなかった。


コンビニでも…


悪の四十九個目。急いでて自動ドアに当たった。

悪の五十個目。絨毯じゅうたんをめちゃくちゃにした。

悪の五十一個目。通路を塞いじゃった。

悪の五十二個目。間違ったものを取った。

悪の五十三個目。ものを間違った場所に返した。

悪の五十四個目。買い物かごをうるさく落とした。

悪の五十五個目。誤って列に割り込んじゃった。

悪の五十六個目。支払いがうまくいかなかった。

悪の五十七個目。カード持ってなかった。

悪の五十八個目。お金が足りなかった。

悪の五十九個目。メロンパンは買わなかった。

悪の六十個目。何も買わずに店を出た。


公園でも…


悪の六十一個目。ぼーっとしながら歩いてた。

悪の六十二個目。投げられたボールを取らなかった。

悪の六十三個目。子供たちの誘いを断った。

悪の六十四個目。人生を振り返ってみた。

悪の六十五個目。木を殴った。

悪の六十六個目。公園で泣いた。

悪の六十七個目。長く泣いた。

悪の六十八個目。聞かずに誰かの隣に座った。

悪の六十九個目。知り合いと遭遇そうぐうして冷たくした。

悪の七十個目。現場から逃げた。


どこでも…


悪の七十一個目。車の前に飛び出しちゃった。

悪の七十二個目。クラクションを鳴らされた。

悪の七十三個目。道に迷った。

悪の七十四個目。お母さんに連絡できなった。

悪の七十五個目。自分で解決できなかった。

悪の七十六個目。何時間も無駄にした。

悪の七十七個目。どうすればいいか分からなかった。

悪の七十八個目。無力さに大声で叫んじゃった。

悪の七十九個目。諦めるところだった。

悪の八十個目。叫びが誰かに聞かれた。

悪の八十一個目。どうかしたと聞かれた。

悪の八十二個目。返事をしなかった。

悪の八十三個目。気まずい空気を作った。

悪の八十四個目。もう一度聞かれた。

悪の八十五個目。全てを吐き出した。

悪の八十六個目。気まずい空気をまた作った。

悪の八十七個目。道の案内をしてもらった。

悪の八十八個目。お礼を言えなかった。

悪の八十九個目。誰も気にせず必死に急走した。

悪の九十個目。騒がしく病院に駆け込んじゃった。

悪の九十一個目。受付の人に迷惑をかけた。

悪の九十二個目。病院で走った。

悪の九十三個目。誰かにエレベーターのドアを閉めた。

悪の九十四個目。間違った病室に入った。

悪の九十五個目。謝って、謝って、謝り続けた。


ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…


悪の九十六個目。時間を忘れた。

悪の九十七個目。約束の時間に遅れた。

悪の九十八個目。お母さんを待たせた。


「ごめん、お母さん…遅れて。」

「いいのよ〜、それくらい。」

「…好きなメロンパンも買えなかった…ごめん。」

「…」

「…」

「**?」

「はい、お母さん。看護師さんを呼んで欲しい?」

「ううん〜、そうじゃなくて……いつもありがとうね。メロンパンはともかく、会いに来てくれてありがとう。すごく嬉しい。」

「………お母さん?」

「どうしたの?」

「…」

「私はお母さんだから、遠慮しなくていいのよ…」

「……いゃ、ごめん。なんでもない。それじゃ。」

「うん、また明日。」

「…うん。」


悪の九十九個目。お母さんに嘘をついた。

悪の百個目。大好きって伝えなかった。


学校でも、駅でも、家でも、公園でも、病院でも…どこでも悪が重なる。


そう思って屋上に辿り着いた時、ある少年が後ろから当たってきた。


「あ、すみません…」

「いえ、いえ。なんでそんなに急いでるの?」

「お兄…お兄ちゃんが死んで、寂しくて…早く会いたい…」

「…」


少年は星空を切なく眺めた。


「多分、君のお兄さんはまだ会いたくないよ。」

「なんで?」

「彼は悪を増やしたくないから。」

「…よく分からない。」

「…分からないか〜。じゃ、こうしよう。この消しゴムを貸してあげる。でも、いつか返してもらうから、大事にしてちょうだい。返すまでお兄さんに会いに行くのは禁止。分かった?」

「…今返してもいい?」

「いゃ、今はだめ…また返す機会は必ず来る。大丈夫。」

「大丈夫?」

「大丈夫。」

「…分かった。」


階段に戻る少年は振り向いて、苦しみ深いものの純粋な笑顔。


「バイバイ!またね!」

「…バイバイ。」


その後、少年は屋上から消えた。


善の一つ。歩いてたら誰かとぶつかった。


誰かに希望を与えた。


うん。それだけでいい。


記憶を繰り返す。あやまちを繰り返す。悪を繰り返す。


こんなのは悪じゃないって?あ…もっと早く言って欲しかった。


悪魔の百体、肩に付く。悪魔の百体、頭にく。


星は綺麗だな…


悪魔は翼をくれるのだろうか…


そして一命の悪弊あくへいを抱えて、不肖者は飛ぶ。

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