第14話 黒月の手 前編

「……っ、これは……?」


 乾いた喉から漏れた声は、自分でも驚くほど掠れていた。

 冷たい石に押しつけられるような身体。手首と足首には見慣れない黒革の拘束具。そして、首に触れるのは、冷たく重たい金属の輪。動こうとしても、ガチャリ、と鎖の音が鳴るだけだった。

 息を呑み、視線を落とす。白の和服の胸元には、誰かに着せられた気配だけが残っている。きちんと整えられた帯。乱れなく結ばれた袴。明らかに「見せる」意図のある衣装だった。

 そして、自分の身体の下に広がる巨大な魔法陣。血のように赤く、静かに、脈を打っている。


「……冗談、だろ……」


 優斗の声が、かすかに震えた。こういう類の結界は、嫌というほど見てきた。だが、これは「祈り」ではない。「呼ぶ」ためのものだ。

――誰かが、自分を器にしようとしている。

 ひたり、と。額に冷たい汗が浮かんだ。そのときだった。

 奥から、足音がひとつ、響いた。

 コツ、コツ、と。柔らかな足取り。けれど、それは確かにこちらへ向かっている。


(……誰だ)


 その足音の主が姿姿を表す。白い仮面、黒いローブには逆さ三日月。そしてその手には、長く細い巻物と、古ぼけた祭具。


「黒月…!」


目元だけが覗くその男は、何かに魅入られたように魔法陣を見つめて言った。


「……やっとだ。お前という器が整った。この“惹魔の体質”を以てすれば、あれを顕現させることも……可能だ」


 ――顕現?

 優斗の瞳が、わずかに見開かれる。

 そのとき、魔法陣が、微かに光を帯びた。けれどそれは、まだ目覚めてはいない。封じられたまま、ただ静かに眠っている。


「……ふざけるな。僕は……お前の玩具じゃない」


 どこか冷えきった、優斗の声。

 だがその声に、仮面の男はふっと笑ったようだった。


「玩具?違う。お前は“鍵”だ。世界を変える、ための扉を開く鍵だよ……日吉優斗」


 その言葉と同時に、魔法陣が淡い赤から深い紫へと輝きを変え、優斗の首につけられた首輪がじわりと熱を帯び始めた。


「……っ、く……!」


 熱さの奥に、何かが開く感覚があった。体の奥底から霊気が絞り出され、首輪を通して外へと溢れ出していく。洞窟の空気がざわつき、魔法陣が脈動するように明滅する――そしてそこから、にゅるりと異質なものが現れた。

 黒紫の、ぬめるような触手が数本、ゆっくりと伸びてくる。その先端が優斗の身体に触れると、まるで意思を持っているかのように、和服の襟元、袖口、裾から入り込んでいく。


「やめ……っ、触るな……!」


 優斗の声は洞窟の中に反響するが、黒いローブの男は微動だにしない。その瞳の奥には、ただ“観察者”としての冷たさだけがあった。

黒紫の触手が、和服の隙間から静かに入り込んでくる。まるで絹のように滑らかで、だがその感触は、明らかに“生きた何か”だ。

 優斗の身体がぴくりと跳ねる。


「っ……やめろ……っ」


 抗おうにも、手足は祭壇に縛られたまま。和服の内側を這う異物は、鎖骨をなぞり、胸元へと滑り込み、ゆっくりと体温を奪っていく。

 冷たく、ぬるりとした感触が肌を這うたびに、霊気が逆流するように暴れだす。抑えようとする理性とは裏腹に、触手は優斗の身体の霊気の流れを読むように、敏感な箇所を正確に探り当てていく。


「……っ、はぁ……くっ……!」


 その声を、男たちはただ無言で聞いていた。観察するだけの目。感情の欠けた冷たいまなざし。

 魔法陣の中心――優斗の身体の下が、さらに明るく脈動する。まるで彼の反応を、魔法陣が喜んでいるかのように。


「……いい反応だ。惹魔の体質は、こうして異形の力を通して開かれる。拒絶すればするほど、その力は……増幅する」


 仮面の男が、呪文のように囁いた。

 優斗の首輪が再び熱を持ち、思考がかき乱される。体の奥の霊気が、まるで強制的に引き出されるように溢れ、触手と混じり合っていく。

 服の内側――肌を這う感覚は次第に増え、感覚の境界が曖昧になっていく。


「……っ、やめろ……っ、こんなものに……負けない……!」


 目を閉じて、優斗は内側から自分の霊気を制御しようとする。だが、首輪がそれを邪魔するように、また霊気の一部を吸い上げていく。

 ――このままじゃ、霊気ごと自我を奪われる。心のどこかで、それを理解していた。けれど、それでも。


 (……麻斗……)


 ふと、頭に浮かんだのは弟の顔だった。

 もし、しかし、その考えもぬるり、とした感触が足首に触れ、霧散する。

 冷たく、なまめかしい異質な何かが、ふくらはぎから太腿へと這い上がってくる。腰のあたりにたどり着く頃には、まるでそれが“生きている”と確信させられるほどの動きとぬめりがあった。


「っ……く、ぅ……!」


 身体の奥から引きずり出されるような霊気の流れ。それに呼応するように、首につけられた呪具の首輪がじわりと熱を持ち始める。魔法陣が深い紫の光を放ち、洞窟の空気がざわついた。

 そのときだった。


(優斗ー?優斗どこにいるー?プリン食べてもいい?)


 間の抜けた声が頭に響いた瞬間、優斗の表情が一瞬だけ崩れた。


「はぁっ……!? お前今そんな――!」


 反射的に返した声はかすれ、儀式の中心にある自分の存在を際立たせるように反響する。だが、仮面の男は反応を見せなかった。ただ淡々と呪文を唱え続けている。


「君が怪異を“意識”するたびに、怪異は力を増す……」


 男が囁いた言葉と同時に、魔法陣がさらに強く脈打ち、異形の触手が一斉に優斗の身体へと伸びた。

 襟元、背中、首筋。和服の隙間を縫うように忍び込んできたぬめる感触が、霊気の脈をまさぐる。探るように、優しく、だが容赦なく。逃げ場のない触れ方に、優斗の喉がひくりと震える。


「う……っ、やめ、ろ……」


(えっ、優斗!? どうした!? なんか変な声聞こえたぞ!? 今どこ!?)


 麻斗の声が、今度は本気の色を帯びて脳内に響いた。


(……早く来い、麻斗……!)

(……わかった。絶対行く。)


 その一言には、あの弟らしい軽さが一切なかった。切り裂くような意志だけがまっすぐに伝わってくる。

 来る。優斗は確信した。麻斗が、本気になった。

 その思いが胸に灯ると同時に、目の前の現実がさらに色濃く、残酷に押し寄せてくる。


「やはり君の波長……召喚が思ったより早い」


 仮面こ男が静かに呟いた瞬間、魔法陣が明滅し、触手が頬に、首に、そして唇の際にまで這い上がる。

 ぞわり、とした粘つく感触に身体が無意識に強張った。


「…こんなことしたって、無駄だ」


 呼吸を荒げながらも、優斗は唇の端を吊り上げて言い放つ。


「僕は…こんなものに揺らされるほどヤワな訓練受けてない――毎日こいつらに絡まれてるからね」


 目を閉じ、感覚を切り離す。心を“内側”へ向けて、波長を整えようとする。


「そんな強がりを言ったところで…君の霊気は、動揺するように漏れているぞ」


 男の言葉に、優斗は顔をしかめながらも、不敵な笑みを崩さなかった。


「僕に頼らなきゃ化け物の召喚もできないくせに偉そうだね……」


 その言葉に、仮面の男の眉がわずかに動く。魔法陣が不規則に脈動し、一瞬だけ儀式が乱れる。


「黙れ……“器”ごときが……」


 怒気を孕んだ声に、優斗の瞳が鋭く光った。


(麻斗が来るまで……召喚できないように、時間を稼がないと……)


 優斗は喉の奥で息を詰め、首筋を這う異形の感触に耐えながら、意識を集中させた。

 首輪を通して流れる霊気のライン。その流出を最小限に抑えるよう、意図的に“霊の流れ”を弱く鈍らせる。あえて、自分の体内の循環を濁らせ、魔法陣の反応速度を遅くする。

 当然、強い反動が返ってくる。触手たちは霊気の流れを求め、より深く、敏感な場所へと侵入を始めた。和服の隙間から指先のような感触が滑り込み、背中の骨をなぞり、胸元を撫で、じわじわと霊気の濃い部分を探り当てようとする。


「ぅ……くっ……!」


 目を閉じて、耐える。反応すれば、それを合図に術式は加速する。冷静さが必要だ。

 だが、彼らも当然その意図に気づいていた。


「……感知の流れが鈍い。意図的に抑えているのか?」


 仮面の男が魔法陣を見下ろす。


「――ならば、刺激を増やすまで」


 その一言のあと、儀式陣が一際強く明滅した。

 ぬめるような触手が数を増し、優斗の全身に絡みつく。肌をなぞり、耳の裏にまで忍び寄る異形の“指”。敏感な箇所にまで侵入しようとする、意志のある動き。まるで、優斗の内側に“扉”があると知っているかのような正確さ。

 だが――それでも。


「はっ……そんな安っぽい手で、僕の霊気をどうにかできると思うなよ」


 汗ばむ額に髪が張りつきながらも、優斗の瞳は鋭さを失っていない。

 思考の奥に、微かな波動が揺れた。


(……麻斗)


 確かに、意識の彼方にあのバカの“波長”が近づいている。


(あと少し。もう少しだけで――)


 耐え抜いてやる。召喚などさせない。自分の身体も、霊気も、渡しはしない。

 優斗は静かに、唇を引き結んだ。


「小癪な……!」


 黒フードの男の声が鋭く響いた。魔法陣の光が一層激しく脈打ち、触手たちがまるで焦るように、優斗の身体を包み込んでいく。

 襟元がずれ、胸元に触れるぬめり。足元を這い上がる冷たい舌のような動き。どこまでも遠慮なく、執拗に、彼の霊気の源を探り、開こうとしてくる。


(……くそっ、しつこい……!)


 優斗は息を荒げながらも、必死に自分の中心を保つ。霊気を、感情を、意識を“内側”へ閉じ込めていくように。


(……もう少し……)


 その時だった。

 胸の奥――魂の芯に近い場所で、確かに“麻斗”の気配が揺れた。

 荒々しく、直情的で、爆ぜるような波長。

 遠くから、だが確実にこちらへ向かってきている。まるで雷が駆け抜けるような、一直線の衝動。


(麻斗……!)


 強張っていた指先が、かすかに震える。

 それでも優斗は、顔を歪めながら口角をわずかに持ち上げた。


「……お前らの儀式なんか……すぐに、ぶっ壊される……」

「何?」


 魔法陣の中央で、触手に取り囲まれながらも、不敵なその目だけが、闇を切り裂くように光っていた。


「優斗!!」


 荒れた息を吐きながら、洞窟の奥に麻斗が飛び込んできた。その目に映ったのは――白の和服を着せられ、首輪を嵌められたまま祭壇に固定された兄の姿。


「何だと…?なぜここに日吉麻斗が!?」


 仮面の男が目を見張る。


「遅いよ……ばか」


 痛みに滲むような、けれどどこか気丈な声で、優斗は顔を上げる。その言葉に、麻斗の瞳が細められた。


「……っ、お前ら……絶対に許さねぇ!」


 全身に退魔の波長をまとわせ、麻斗は祭壇の周囲を囲む仮面の男を睨みつけた。


「ぶっ壊してやる!」

「無駄だ!召喚は完了した!!!」


 狂ったような叫びが、洞窟の中に木霊した。 

 次の瞬間、魔法陣が爆ぜるように輝きを増し、そこから溢れ出る光の中から、異形の存在が姿を現した。

 タコのような、だが目のない顔に、巨大な触手が何本も蠢いている。全身がどろどろと溶け崩れながら再構築を繰り返すような、不気味な怪異。

 魔法陣の輝きが激しさを増し、空気が凍りつくように冷えた。洞窟内に渦巻く霊気が、まるで嵐のように吹き荒れる。

 麻斗はすぐさま優斗に駆け寄り、手足の拘束具を素早く外した。


「兄貴、動けるか!? くそ、この首輪……!」


 首元に手を伸ばすが、首輪はビクともしない。それどころか、そこから漏れ出る霊気がさらに激しさを増していく。

 怪異がぬるりと身体を揺らし、ゆっくりと動き出す。その無数の触手が、まるで誘われるように優斗の方へと伸びていった。


「優斗……っ!これ、やべえ……!」

「……アイツは不完全体だ。途中で簡易召喚に切り替えたんだ、だから……本来の力はないはず……」


 それでも、圧倒的だった。目のないその顔が、明らかに“優斗”を見ていた。意思を持って、霊気を、彼そのものを“食らおう”としている。

 漏れ出す霊気に反応するように、怪異の触手がゆっくりと首元へと伸びていく。


「くっ……こいつ、まだ僕を……!」


 優斗は歯を食いしばり、震える手を自らの首へと伸ばす。触れるたび、脳を痺れさせるような霊気の反応が返ってくる。首輪には、かなり複雑な術式が刻まれていた。

 そのとき――男が呪文を唱え始めた。麻斗と優斗に向けて放たれる、封印と強化の複合術式。


「兄貴、俺が防ぐ! お前はその首輪、なんとかしろ!」

「いや、このまま援護する。この首輪、すぐには外れない仕組みになってる」


 そう言って、優斗はゆっくりと立ち上がった。

 白の和服の裾が静かに揺れ、肩から滴る汗が淡い光に反射する。首元に食い込む金属の首輪が、なおも霊気を漏らし続けていたが、優斗の瞳にはもはや迷いも、怯えもなかった。

 術者と化け物相手にのんびり解析なんてしていられない。けれど――霊気の流れさえ読み切れば、制限された状態でも、できることはある。


「霊気が漏れてるなら、それを使えばいい……限られた術式でも、制御さえできれば――」


 そう呟く声は静かで、だが内に宿す怒りと決意がはっきりと込められていた。

 手をかざす。指先に集めた霊気を、式符に流し込む。滑るように術式を描き、空間に編み込む。


「……僕を玩具にしたこと、後悔させてやる」


 その瞬間、足元に展開された魔法陣が優斗の波長に反応し、微かに揺らいだ。まるで主を見誤ったことに困惑しているかのように。

 一方で、麻斗は怪異の前に立ちはだかり、構える。


「兄貴、背中預けるぞ」


 その言葉に、優斗が小さくうなずいた。

 仮面の男が低く呪文を紡ぎ、背後では不気味な怪異がぬるぬると蠢いていた。

 その中心に、白装束の優斗と、退魔の波長を纏った麻斗。

 敵は二つ。術者と、召喚された異形の怪異。


「兄貴、霊気操作だけでもやれんだよな?」


 麻斗が背を預けるように言いながら、拳を構える。


「ああ。複雑な術は無理だけど、制御と撹乱くらいならいける」


 冷静にそう答え、優斗は指先から淡い霊気の糸を編む。

 首輪から漏れ出す霊気を利用し、即興の霊紋を描きながら結界を組み上げた。


「霊気が漏れてるなら、それを使えばいい。……限られた術式でも、制御さえできれば――僕を玩具にしたこと、後悔させてやる」


 その瞬間、足元に展開された魔法陣が、優斗の波長にわずかに反応して軋んだ。

 麻斗はその隙を逃さず、叫ぶ。


「よし!俺が斬り込む、ぶん投げろ兄貴!」

「いけ、麻斗!」


 爆ぜるように放たれた霊気が怪異にまとわりつき、動きを鈍らせた――その隙に、麻斗の拳が一閃する。


 「うらあああッ!!!」


 退魔の波長を纏った拳が、怪異の顔面を捉えた。


 ギィィィィア”アアアアア”ァァァッ……!!


 音ではなかった。空気が裂け、洞窟が震える。“音”というより、“圧”だった。

 骨の芯に直接突き刺さるような、飢えと怒りと渇望だけで構成された“咆哮”。

 怪異の身体がぐにゃりと歪み、どろりと崩れかけながらも、溶けた肉を這い寄せるように再構築していく。


「ちっ……まだ動けんのかよ……!」


 麻斗が身構える。ぬるりと蠢いた怪異の触手が再び優斗の方へ伸びていく。

 目のない顔が、はっきりと優斗を“見て”いた。


 「…ガ……ァ……ゥ……ァ”ァア”……」


 それは言葉にならない呻き。だが、まるで名を呼ぶようでもあった。

 口のない顔からは、ぶくぶくと泡立つ粘液が流れ落ちている。

 不完全な召喚体。それでもなお、優斗の霊気に引き寄せられる本能だけが怪異を動かしていた。

 優斗は空間を操るように手を振るい、霊気を展開。

 一方、麻斗は全力で拳に波長を集中させた。


「今だ、麻斗!」

「おおおおおらあッ!!!」


 拳が怪異の“核”を穿ち、空気が一瞬止まったような静寂のあと――

 

ヴォ”ッ……ガアァァ”ァ……


 怪異の体が破裂するように崩れ落ちた。

 崩壊と共に魔法陣が断ち切られ、洞窟全体の霊圧が一気に沈んでいく。

 だが、その直後。仮面の男が、かすれた声で呟いた。


「……まだだ……まだ、終わらぬ……」


 崩れた怪異の残骸を背に、仮面の男がよろめきながら立ち上がる。

 その声には敗北の色ではなく、執念と執着が宿っていた。


「こいつ……まだ動けるのか」


 麻斗が拳を構える。だが次の瞬間、男の手が素早く印を切った。


「影よ、喰らえ」


 その言葉と同時に、彼の足元に黒い影がうねり出し、洞窟の床を這うように広がっていく。

 一瞬の錯覚のように、男の輪郭がぼやけ、視界が歪む。


「待てっ!」


 麻斗が踏み出したときには、仮面の男の姿は影と共に溶けるように消えていた。

 ただ、残されたのは低くくぐもった声。


「“器”は完成に近づいている……次こそ、完全な形で……」


 空間が静まり返る。もうそこには、男の気配も、霊の圧もなかった。


 優斗が膝をつき、浅く息を吐いた。


「……逃げられたか……」


「クソッ、あとちょっとだったのに!」


 麻斗が悔しげに拳を握る。

 だが、今は追えない。優斗の霊気はまだ首輪から漏れ続けており、何より傷と消耗が激しい。


「まずは、この首輪を……壊す方法、探さないとね」


 静かに言う優斗の声に、麻斗がふっと肩を落とす。


「帰ったら叔父さんに見てもらおうぜ。あいつ、こういうの得意だろ」

「……うん。助かったよ、麻斗」

「おう。兄貴があんなヤベェ声出してんの聞いて、どんだけ焦ったと思ってんだ」

「……聞こえてたの、あれ」

「ばっちりな」


 優斗は少し気恥ずかしそうに目を逸らした。――再び静けさを取り戻した洞窟の中、ひとまずの勝利と、逃げた敵の気配を胸に、双子はゆっくりと歩き出した。



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