静かな未来のドーム都市を舞台に、アンドロイドと子どもたちの絆を優しく描いた作品です。
処分される運命を背負ったAI教師・メル先生に、子どもたちが何かできないかと奔走する姿には胸を打たれます。
穏やかな日常の中に差し込まれる死や別れの影、そしてそれに抗うように「歌」を贈ろうとする子どもたちの想いが、読むほどにじんわり心に染みていきます。
語り口にも仕掛けがあり、物語が進むにつれて「あれ?」と感じた違和感が、ある瞬間に鮮やかに回収される構成も見事。
静かだけれど確かな感動に包まれる、余韻の残る一作です。