読み進めるごとに、どんどん胸があたたかくなっていきました。
主人公は冷徹な商人と噂されるユーゴ。彼はある日、街の中で「一人の奴隷」が売りに出されているのを目にする。
奴隷は人間ではなく、魔族の少女だった。魔力を持たないために追放される憂き目にあった少女は、人間たちに捕えられたとわかる。
客たちは少女を見て、実験動物にしようかなどと、残酷な想像を口にしては面白がる。ユーゴはそれを見兼ね、その場で大金で彼女を買い取ることに。
その後のユーゴの行動が、もう本当に胸に来るものでした。
イライザという魔族の少女に対し、あくまでも冷酷な態度を取り、「無能」などともしょっちゅう口にする。
でも、彼女には家の掃除や身の回りの世話を命じるだけで、彼女が失敗したら悪態をつきつつも手伝ってあげる。
ぶっきらぼうで、愛想笑いの一つもしない。それでも、なんのかんのでイライザのことを思いやってくれている。
ストーリーが進む中で、ユーゴの姿がだんだん「わたしの幸せな結婚」の清霞様のようなイメージに変わって行きました。きっと細見に美しい男性なのではないか、とビジュアルが頭に浮かんできます。
不幸な境遇から救われて行く感じ。不器用ながらも人を思いやる姿。この姿を見ていると自然と心を震わされるようになります。
たしかな「優しさ」の物語。是非オススメです。