第24話 《くるみ割り7》開始
『互いにアイテムの選択が終了しました。それでは今回の勝負を発表します』
さて、奴は何を選んだ?
ザインは宣言する。
『今回の勝負は、《くるみ割り7》です』
……くるみ割りだ?
対面している野盗の男、ザッピーノがガッツポーズをする。
「おらあ! ペンチを選んで正解だったぜ!」
ああ、やばい。
俺の寿命が一気に縮んでいる気がする。
ザッピーノが選択したアイテムは、
『使い古したペンチ』。
そして直感で選んだ俺のアイテムは、
『ピンク色のペンキ』……。
アイテムはあっちのが有効そうだ……。
ま、『読めばたちまち恥ずかしくなるクサいセリフが散りばめられたポエム』を面白半分で選ばなかっただけヨシと考えるか。
—バリアの外—
「よかったぁ……サイキさま、ポエムを選んでなくてぇ」
——
『今回の勝負、《くるみ割り7》のルールをウィンドウでご確認ください』
—《くるみ割り7》のルール—
はじめに・
各自に用意された7個のくるみを先にすべて割ったプレイヤーが勝者となる。
1・自身の残りのくるみの数のみ各自のウィンドウに表示される。
2・相手のくるみを隠したり奪ったりした場合、その5秒後に、そのくるみの半径1m以内に電流が発生し続ける。(ただし、電流は筋肉が激しく反応する程度。隠された側のプレイヤーには無害)
本当にシンプルなくるみ割りの勝負みたいだ……ますます不利だ。
「ガハハハッ! もうこりゃオレの勝ちのようだな! オマエはそのピンクのペンキで自分の体でも真っピンクにしてろ!」
「ああ? てめえが負けたらその五臓六腑にペンキ流し込んでピンク色のクソとションベンと涙をひり出させてやるよ」
「オマエ……野盗のオレより恐ろしいこと言うな……」
目の前に、小さなザルの中に入った7個のくるみと、ピンク色のペンキ缶が現れる。
『準備はよろしいでしょうか。それでは合図とともに《くるみ割り7》を始めます』
俺とザッピーノの呼吸が、止まる。
『勝負開始です』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます