第17話 奴の手札の解剖


 俺は思考を研ぎ澄ました。



 ケイジールが4回戦までに使ったカードは、


 『グー』1枚

 『チョキ』1枚

 『パー』2枚。



 そして途中で絶対的に不利な『チョキ』を無理やり使用したことで、『チョキ』が2枚以上あることは確定でいい。



 そして『パー』もおそらく2枚以上だ。

 

 なぜならケイジールは『パー』の強みを知っているうえに、1枚使わなくていいカードを選ぶなら引き分けのときに有利な『パー』を相手も選ぶ、と考える。


 当然、それに勝るように『パー』を1枚よりも多く入れようとする。



 さらには、手札のバランスも加味しながら『グー』対策で3枚か4枚は『パー』を入れる。2枚の可能性は低い。もし相手も、相手より1枚多く入れようと考えていたら引き分けの時に勝てないから。



 そして、ついさっき。



 ケイジールは4回戦目で勝利を確信していた。



 つまり、あのとき勝っていたら、確実に勝利できる手札があったということだ。



 それらを踏まえれば、5回戦と6回戦で出す手札は、



 『グー』と『何か』という組み合わせ。



『グー』と『グー』なら確実に勝てるが、手札は『グー』3枚『パー』3枚で『チョキ』が1枚となり、途中で『チョキ』を無理やり出す必要性がなくなる。これはない。



 逆に『グー』がない場合は、確実に勝てる手段はない。



『チョキ』と『チョキ』の場合は、俺の手札に『グー』が6枚あった場合、詰みじゃない。


『チョキ』と『パー』、『パー』と『パー』の場合、俺の『グー』と『チョキ』のみの手札相手に勝ちきれるとは思わないだろう。


 




ケイジールから見て、確実に勝ち数が2対2以上で終われる手札は、



 必ず『グー』が1枚必要になる。




 それらをふまえて、改めて考える。



『グー』は2枚、確定。3枚以上はない。


『チョキ』は2枚以上、確定。1枚はない。


『パー』は3枚以上、確定。4枚にした場合、他のどちらかの枚数が減る。


『チョキ』を1枚にすれば、これは破綻。


『グー』を1枚にした場合、残りが『チョキ』と『パー』の組み合わせになり、これも勝利の確信には至れない。



答えは、


『グー』2枚

『チョキ』2枚

『パー』3枚


 そして出た手札を差っ引けば、それぞれ1枚ずつとなる。



……ま、見落としがなければいいがな!



 さて、食い殺しますか。





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