第2章の始まり

読み終えてまず思ったのは、
「この作品、後半に向かうほど構文密度が増すタイプだ」ということでした。

最初は柔らかい日常と距離の近づきで読者を緩めておきながら、終盤になると空気が急激に変わる。
特にラストの「誰?お前」は、それまでの穏やかな流れに差し込まれる異物感として非常に効いていて、作品全体の温度を一段上げる強いスイッチになっていました。

人との距離感、救われたい側と救おうとする側のズレ、そして日常の中に突然落ちてくる現実の描き方。

どれも丁寧で、読み手に余韻を残す構造がよく効いています。

穏やかさと緊張の落差を武器にした、読後にじわっと残る作品でした。

これで一区切りではあるけれど、完結ではなく次章への合図の書き方も上手。

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