7話 綻びを撃て
ノワヴィスの攻撃は、止まらなかった。
肉の腕が、空間を薙ぎ払う。
砂が舞い、空気が軋む。
ミレアの氷壁が、幾度も砕け散る。
そのたびに、シュリオが即座に癒しを重ね、持ちこたえていた。
セリオスは、剣を握る手にわずかな汗を感じた。
(このままでは、持たない。)
硬すぎる。
強すぎる。
正面からぶつかっても、押し返されるだけだ。
「ライゼ!」
無言で応え、風を纏って動いた。
セリオスも、反対側へ走る。
ノワヴィスが、わずかにこちらを振り返る。
その瞬間――
巨大な肉体が、かすかに鈍った。
「今だ!」
セリオスが叫び、剣を振り抜く。
ライゼも同時に、風をまとった一撃を叩き込んだ。
ノワヴィスが、はじめて後退した。
空気が震える。
ミレアが盾を構え直し、シュリオが癒しをさらに重ねる。
小隊全体が、わずかに前へ出た。
(押せる――!)
だが、ノワヴィスも無策ではなかった。
異形の肉体から、さらに無数の触手が広がる。
あたり一帯を、無差別に薙ぎ払う。
セリオスたちは、咄嗟に跳び退った。
砂塵が舞う。
一瞬の沈黙。
セリオスは、剣を構えたまま、静かに息を吐いた。
まだ、勝負はこれからだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます