第3話 幻影呪文(AI小説)

 夜の森は静寂に包まれていたが、その静けさは長くは続かなかった。冒険者パーティー――老魔法使いガルザック、屈強な戦士ブロガン、敏捷な斥候リリス、そして若き聖職者テオ――は、焚き火のそばで休息を取っていた。ガルザックはいつものように曲がった杖を手に、膝の上に広げた呪文書を眺めながらぼやく。

「毎朝この杖に呪文を込めるのが、まったく億劫でな。こんな年寄りにこんな面倒な仕事を押し付けるなんて、魔法の神も無慈悲だよ!」彼の白い髭が火の光で揺れる。

 リリスが目を細め、森の闇を見つめる。「静かに、爺さん。何か聞こえる――足音だ!」彼女の警告と同時に、木々の間から松明の光が揺らめき、金属の擦れる音が近づいてきた。盗賊だ。十数人の荒々しい男たちが、剣や短弓を手にパーティーを取り囲む。

「金目のものを置いて失せな!」盗賊の頭らしき男が吠える。ブロガンが大剣を構え、テオが聖印を握りしめるが、ガルザックは杖を軽く振って制した。「落ち着け、若者たち。こいつら相手に血を流す必要はない。逃げるぞ――あっちだ!」彼は森の奥、開けた平地の方を指す。

「逃げるだと!?」ブロガンが唸るが、ガルザックの目は鋭く光っていた。リリスが素早く頷き、パーティーは一斉に駆け出した。盗賊たちは哄笑しながら追いかけてくる。「逃げても無駄だ、馬鹿ども!」

 パーティーは森を抜け、月明かりに照らされた平坦な道をひたすら走る。ガルザックの息はすぐに荒くなり、「ああ、若さが恋しい!」と呻きながらも、杖を握りしめて走り続ける。盗賊たちは執拗に追いすがり、矢がリリスの足元をかすめる。だが、奇妙なことに、追跡者たちの足取りが次第に乱れ始めた。

 突然、盗賊たちの叫び声が森に響く。「うわっ、足が!」「何だこの地面!?」パーティーが振り返ると、盗賊たちは平坦な道のはずの場所で、泥に沈み込んでいた。底なし沼だ。月光の下、ぬかるみに足を取られた盗賊たちがもがき、互いに罵り合う。

「助けろ! 溺れる!」一人の盗賊が叫んだ瞬間、沼の表面が大きく波立ち、巨大な影が現れた。ナマズのような顔に、ずんぐりとした手足が生えた怪物だ。体長は馬車ほどもあり、濡れた鱗が不気味に光る。怪物は牙をむき出し、沼に沈む盗賊たちに襲いかかった。断末魔の叫びと水しぶきが夜の森にこだまする。

 パーティーは丘の上で立ち止まり、息を整える。ブロガンが大剣を肩に担ぎ、呆然と沼を見つめる。「いったい何であいつらは沼の中に突っ込んだんだ? あんな開けた道だったのに!」

 ガルザックが息を切らしながら、曲がった杖を掲げ、得意げに笑う。「フハハ、簡単な話だよ、ブロガン。平坦な道を幻影で映したのだ! あの《幻影地形》の呪文は私の十八番さ。人間は幻影によくかかる――特に欲に目が眩んだ馬鹿どもはな!」彼の目は老獪な輝きを放ち、髭の端が揺れる。

 リリスが感心したように口笛を吹く。「やるじゃない、爺さん。あの呪文、朝に込める価値があったね。」テオは聖印を握り、沼で繰り広げられる惨劇に祈りを捧げる。「神よ、彼らの魂に安らぎを…」

 ブロガンが肩をすくめる。「ま、盗賊の自業自得だ。次は俺にも何か戦うチャンスをくれよ、爺さん!」ガルザックは杖を地面に突き、「次はお前の腕の見せ所を作ってやるさ!」と笑い、夜の森にパーティーの笑い声が響いた。


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AIによるファンタジー短編小説試作 ダイスケ @boukenshaparty1

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