第2話 本当だったのかな。

翌朝、目覚ましの音でなんとか目を覚ました俺は、ぼんやりしたままスマホを手に取った。

通知の中に、華乃からのLINEがあった。


「寝落ちしちゃってごめんね。

昨日のこと、本当だったのかな……。

また話そうね、おはよう。」

文字だけなのに、華乃の声が聞こえてくるようで、胸がぎゅっとなった。

あんなにもドキドキした夜のあとに、まるで夢みたいなメッセージ。

けど、それは夢じゃなくて、ちゃんと現実だった。


でも、俺はまだ返事ができなかった。

どう返したらいいのか、考えすぎて指が止まってしまった。


それでも時間は待ってくれず、制服に着替えて学校へ向かう。

教室に入って、いつもの席についても、全然落ち着かない。

先生の声も、黒板の文字も、友達の笑い声さえも遠くに聞こえた。


昨日のことが、頭から離れない。

あの声。あの沈黙。

「好きだよ」って、ちゃんと言ったのに。

あれは、ちゃんと伝わったのかな……。


ずっと胸の奥が熱くて、授業なんか入ってこない。

ノートの隅に、ふと気づけば「華乃」って文字を書いてた。

自分でも呆れるくらい、単純で、でもどうしようもなく本気だった。


放課後、スマホを握りしめたまま、俺はようやく決めた。

――もう一度、ちゃんと話そう。

昨日の続きを、俺の言葉で、伝えたい。

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