喜怒哀楽少女と女装男子(女)
学校が終わり僕が帰りの準備をしているとスマホの着信音がなる。
誰からだろう?と思い見てみると縄飛からだった。
あいつはどこで僕の連絡先を…。
もはや、なんでもありなんだろうと考えることにした。
「風切、ちょっとこっちに」
僕は教室を出ようとする風切に声をかける。
「どうかしたの、燃町くん?」
側に来た彼女にスマホの画面を無言で見せる。
「15分後、駅前の喫茶店に来い。…これ、縄飛さんから?てか、なんで連絡先交換してるのは!?」
「交換してない。どうやってかは知らんが僕の連絡先を突き止めたようだ」
突然、怒る風切に訳を説明する。
「あ…、な、なるほどね…」
「そういや連絡先交換してなかったな。ほら」
僕はスマホにQRコードを写し出す。
「え!?いいの!?」
「連絡取れないと何かと不便だしな。風切はうちの従業員なんだから」
「あ、そういう…」
今度は少し落ち込む風切。
怒ったり、驚いたり、落ち込んだりと感情豊かなことよ。
でも、他の人と話してる時ってこんな感じだったっけ?
風切もスマホを取り出し、QRコードを読み込む。
こいつ…アイコンがカマチって…。
一応、このイタチ超常的存在なんだが…。
まぁ、バレないのであれば問題ない。
「燃町くんと連絡先の交換…」
次は嬉しそうだ。
人間って、こんなに感情豊かなんだなと思う。
「で、縄飛が待ってるらしいから、今すぐ行けるか?」
「特になにもないから大丈夫!」
「OK、なら行こう」
二人で教室を出る。
そのとき、教室からこんな声が聞こえる。
「風切ちゃん、頑張れ…!」
クラスの女子のようだが…何を言ってるんだ?
当の風切には聞こえてるようには見えなかった。
ただ、少し耳が赤い。
どうしたのか、気になって仕方がなかった。
「遅いよ、僕をどんだけ待たせるつもり?」
「5分しか遅れてないし、そもそもの時間指定が早すぎるんだよ」
喫茶店で縄飛に邂逅一番そう言われたので反論する。
「全く、依頼人の僕がそこら辺の野郎に襲われたらどう責任をとるつもりだい?」
確かに、今の縄飛は昨日と違い女性らしい格好をしており、容姿は美少女と言ったところだろう。
周りの男性客もこぞって縄飛の方を見ている。
というか、僕にも視線を感じるのは気のせいかい?
「ささ、依頼について話すから座って」
僕と風切は座るよう促される。
「え〜と、君は確か風切加奈子だったかな?」
「なんで私のことを…」
「狐を暗殺する時の備考で君のことが書かれてたからさ。僕としても女同士仲良くしたいけどね」「は、はい!」
「そんなに緊張しなくてもいいのになぁ」
「縄飛、いいから早く依頼について話せ」
「はいはい、わかったよ」
縄飛はポケットから1枚の写真を取り出し机に乗せる。
写真には縄飛によく似た女性が写っている。
「これが僕の姉、縄飛柘榴。狐と加奈子ちゃんにはこの人を探してほしいんだ」
「なるほど、昨日聞いた通りだな。いつ頃から行方がわからなくなったんだ?」
「確か、一ヶ月前だった気がする」
一ヶ月前…。
僕はその言葉に身震いする。
おもわずあの時のことを思い出してしまった。
だが、今は依頼に集中だ。
気持ちを無理やり切り替えて、質問を再開する。
「縄飛のボスは、どこまでわかったんだ?」
「ボス…あ、元ボスがわかった範囲だと、商店街で見かけられたのが最後らしい」
「探しには行かなかったのか…?」
「行ったよ。行ったけど誰も見てないってらしい」
「ふむ…」
なんだか、少しおかしい気がする…。
縄飛の元ボスいわく、商店街で見かけたという情報があったとのこと。
ただ、縄飛が聞き込みをした時は、誰も見てないと言う。
そうなると、縄飛は元ボスに騙されている…?
いや、ただの推測だ。
「他に手がかりはないのか?」
「ないよ、どう?依頼受けてくれるよね?」
横を見ると、風切が頷いている。
受けるということか。
「わかった、その依頼引き受けさせてもらう。まずは商店街に行くとしよう」
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