縄飛、得意なことは縄跳びと絞殺

「そんなに警戒しなくてもいいよ。僕はもう何もしないから」

そう言って、僕の首を絞めた人はロープを投げ捨てた。

中性的な見た目をしているため合ってるかどうかはわからないが、たぶん女性だろう。

ロープ以外の物は持っておらず、武器はあれだけのようだ。

「なんで、僕の首を急に絞めたんだ…?」

「その前に僕の自己紹介とかしていい?」

なんだ、こいつ…。

あまりにもマイペース過ぎる…。

「僕の名前は縄飛萌萌。性別は女。得意なことは縄跳びと人の首を絞めること。はい、自己紹介終わり、質問どうぞ」

「……僕の首を絞めた理由は?」

「僕は暗殺者でね、君のことを殺すようボスから連絡があったんだ」

「それって、普通言っちゃダメじゃないのか…?」

暗殺に失敗したとはいえ、ターゲットに依頼内容を話すやつは暗殺者失格だと思う。

「別に言っても大丈夫だよ。引退するから」

なおさら、意味がわからん…。

「一回でも暗殺に失敗したら、引退するって契約だから」

「さっき、一時降参って言ってなかったか?どう考えても僕のこと殺す気だろ」

「それは私怨で殺すつもり」

わかった、こいつを常識の範疇に収めようとした僕がバカだった。

「私怨で殺すって僕、君になんかした…?」

「仕事を辞めさせられたから」

なるほど、やっと理解できた。

僕の暗殺に失敗、契約上暗殺者を辞めることに、けど辞めるつもりはなかった、だから僕を殺す。

うん、それってさ

「完全にそっちの落ち度じゃん!」

「違う、あなたが悪い。九尾とかいう正真正銘のバケモノと契約してるあなたが悪い」

ちゃっかり、九尾のこと言ったな…。

こうなると他のことも色々知ってそうだ。

「でも、殺さないであげる」

「なんでだ?」

「あなたには僕の依頼を受けてほしいから」

「依頼だと?どうゆうことだ?」

「あなたがなんでも屋をしてるのは知ってる。だから、依頼を受けてほしい。依頼が完了するまでは殺さないから」

結局、殺されることは確定なのか…。

いちいちツッコんでたらきりがない。

とっとと依頼内容を聞くべきなのだろう。

「内容は?」

「数日前にいなくなった姉を探してほしい」

普通に事件だと思うのだが…。

「警察には相談してないのか?」

「暗殺者が警察の世話になるはずがないだろ。それにボスの力を持ってしても見つからないんだぞ」

「いや、うーん…」

縄飛のボスがどれほどの捜索力を持ってるかはわからないが、かなりあることは間違いないだろう。

となると、一介の高校生に探せというのは無理な話だ。

ただ、依頼を受けないと殺すという脅しかけられてる。

「燃町くん」

すると、風切が声をかける。

「どうした、風切?」

どーでもいいが僕疑問符多すぎじゃない…?

「私、この依頼引き受けたい…」

「な…!本気で言ってるのか…」

「うん、暗殺者ってのはどうかと思うし、燃町くんを殺そうとしたのは許せないよ。でも、困ってる人は助けたいの」

「風切…」

そうだ、風切の言うとおりだ。

経緯がどうあれ困ってる人を助ける。

そのためになんでも屋をやってるのだから。

僕は決意を固めた。

「縄飛、この依頼引き受けさせてもらう」

「まぁ、当然だよね。断る理由がないだろうし…」

「……ただ条件がある」

「何?」

「依頼後、誰も殺さないと誓え」

「いいけど、あなたは例外だからね?」

「それでいい…」

「よし、じゃあ明日からよろしく。詳しい詳細は明日教えるから」

そう言うと彼女立ち上がりロープを回収し、リビングから出ようとする。

が、なぜか立ち止まる。

少しして、彼女は振り返り言う、

「財布忘れた。帰るためのお金貸して」

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