主人公のララは手芸店の新米店員。彼女の働く店で売っているのは、店主アイビーが魔法をかけた手芸素材の数々。不思議な材料で作るハンドメイドアイテムは、願いを叶える手伝いをしてくれると評判。今日もお店には手芸好きのお客さんがやってきます。そんなお客さんのなかには、多かれ少なかれ悩みを抱えた人もいて――
本作は全6章。悩みを抱えるお客さまが章ごとに変わります。そして、悩みを抱える彼らは手芸を通して、自信の抱える問題に立ち向かいます。
ファンタジックな世界観ですが、お客さんたちの悩みは共感できるものばかり。なので、わたしならどうするだろうか?と、自分ごとのように考えながら読み進められました☆
お客さんの問題が、どれもハッピーエンドを迎えるところもいい!大変そうな展開も、どう解決するんだろう?くらいの気持ちで読めるところが良かったです!
ほかにも、ララの働きぶりをとおして、手芸店員のお仕事を知れたのも面白かったです。納得感のある描写が多くて、リアルに感じました。
手芸の知識がある人はもちろん、わたしみたいな手芸経験ゼロな人でも楽しく読める、異世界ファンタジーなお仕事小説です☆
魔法が使えず、そのせいで就職活動もうまくいかないララ。
そんな彼女が見つけたのは、魔法のかかった商品を販売する、魔女の経営する手芸店。
自分で魔法をかけるわけではないので、販売するのなら魔法の使えないララでも可能。なによりこのお店の素敵な作品に魅せられたララは、ここで働く決意をします。
こうして手芸店で働くことになったララですが、やってくるお客さんは、みんなどこか悩みを抱えた人たち。
商品にかかった魔法でバシッと解決なんてできたら便利かもしれたせんが、魔法というのはそこまで万能ではなく、できることといったら当人の努力に対するほんの少しの力添えくらい。
ですがそれでいいのです。悩みや困難を解決するのは、あくまでそれに直面する人たち。
どうすればいいかたくさん悩んでたくさんがんばる。そんな人たちだからこそ、魔法の力が活きる。そして悩みを解決した後は、みんな笑顔になれる。
そんな素敵な笑顔溢れる手芸店。
読んでいてほっこりした気持ちにさせてくれます。
ドジっ子の主人公の少女は、第一志望の店の採用面接で落とされてしまう。しかし、これが主人公にとっての転機となり、魔女が営む手芸店の店員として働くことに。
手芸店の店主である魔女は、店の商品に様々な魔法をかけていた。魔法と言うとどんな願い事も必ず叶うようなものを想像しがちだが、ここの魔法は一味違う。品物を手にした者が、強く願い、努力した分だけしか、効能がない。つまり、この店の魔法は、客の背中をそっと押すためのものだったのだ。
恋でも家族間のいざこざでも、客本人が良くなる方向を向いて強く願い、行動することで、初めて手芸店の商品は真価を発揮する。
そして、国家資格である魔女の資格を持ったオーナーが語る過去の物語も、手芸と大きく関わっている。
作中には、手芸教室が多く描かれていますが、どの教室の時でも手芸の知識が物語に深みを与えています。
そっと人々の背中を押して幸せを願う店という設定も素敵ですが、主人公の奮闘ぶりに明るく前向きに頑張ることの大切さを感じます。
是非、御一読ください。