日記 🖌️

上月くるを

日記 🖌️



駆け足で通勤のひとリラの花

入るときチカと光りて鳥雲に


来賓のスーツのならぶ植樹祭

音のして春の霰の意気地なし


水の知る水のさびしさ春愁

風光る真上にかかる昼の月


人さがす有線まのび春の昼

野遊やバッグの内の文庫本


犬捨ててグァムハワイへえごの花

言ひそびれしことや蛙の目借どき


関所うがつ木曾街道の梨の花

うららかや韓の仏の緋の裳裾


楊貴妃の紅唇かくや長春花

闘牛の黒に緋裏の衣装かな


マルメロの花咲く道を軽トラで

下校待つバスケゴールや花水木


年ごとに簡素をきはむ昭和の日

メーデーや足場を渡る菜つ葉服


朧夜の夢千代日記せきひとつ

春月や湖底の鐘の聴こへくる




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日記 🖌️ 上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ