第10話

Vanishの3人は、互いの呼吸を合わせ、今までのすべてをぶつけるつもりで戦いに臨んだ。


対戦相手は、昇格をかけた同格の実力者たち。

それぞれが明確な役割を持ち、隙のない戦術を持っている。


「行こう、未来、陽斗。俺たちのやり方で、突破する」


「うん!」


「任せとけっす!」



序盤、相手チームは陽斗を狙い撃ちにする。

明らかに「Vanish」の戦術を分析してきた動きだった。


「狙われてるな、俺……!」


「ステップ多用して、罠を仕掛けろ。あとは俺が引き受ける!」


玲央が前へ出る。

攻撃を受けながらも反撃のスキを作り、未来が凍結スキルで相手の動きを止める。


そこに――


「陽斗、今だ!」


「了解ッ!」


連携・“ファントムクロス”

陽斗の槍が空中で回転しながら炸裂し、敵前衛を撃破。


「1人落とした、残り2人!」


しかし敵の反撃は苛烈だった。


玲央のHPが残りわずか、回復も間に合わない――


「未来、お願い……!」


「届いて、私の魔法――!」


ヒール魔法が玲央に届き、ギリギリで持ち直す。


玲央の目が燃える。


「行くぞ……ラストコンボだ!」


全員が動き出す。


□□→△→空中ステップ→R2→L1→必殺


未来の凍結で完全拘束し、陽斗が削り、玲央がフィニッシュを叩き込む。


画面に表示されたのは――


【勝利!】【昇格!】


三人は一瞬、声を失った。


次の瞬間、陽斗が叫んだ。


「昇格だぁぁぁーーーっ!!」


未来が泣き笑いしながら笑った。


「やったよ……私たち、やったよ玲央くん……!」


玲央は静かに呟いた。


「……戻ってきた。ようやく、ここまで」



現在ランク:セミプロC3/プロ帯まで残り4階級


だがこの戦いは、まだ“はじまり”に過ぎない。


ランキングボードには、見慣れた名前が上位に並んでいた。


【Rank 2:Sky_Zero】

【Rank 1:KAZANE】


玲央の表情が引き締まる。


「次は……お前らだ」

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