「お仕事の方なんですが、いつもなら慣れている配達員さんと何件か一緒に回って流れを見てもらうようにしているんですけれど…あいにく長い間いた人たちがみんな一斉に意識回復なされたので本当に人手が足りていないんです。朝倉さんには私と一緒に回ってもらいたいんですが、1件だけしか一緒に回れそうにないんですよ。頑張って覚えてもらわないといけないのですが、よろしいでしょうか…?」

「…頑張ります」

「ありがとうございます。まぁ、見てもらえればある程度雰囲気で何とかなると思います。早速行きましょうか」

 そんなに人手が足りていないのか…現実世界もこっちの世界も、働き手が足りていないのはどちらも同じなんだ…なんか不思議な感じ。彼について幽便局の奥へ進み、何やら倉庫のような部屋に来た。

「こちらが本日の配達物です。特にどれを取っていただいても構いません、たまに時間指定の物がありますので、注意してください」

「時間…ここにも時間ってあるんですね、」

「一応現実世界と同じ時間帯になっています。そこまできっちりした指定はないので」

「分かりました」

「では1番上のものからいきましょうか。中に鍵が入っていると思いますので、それでイメージした扉を開けてください」

 鍵かぎ…あ、あった。大きな封筒から出て来たのは四葉のクローバーの付いた昔ながらの鍵。装飾と鍵の年代があっていないような感じはするけれど…まぁ良いか。言われた通り扉をイメージすると、蔦で覆われた小さな扉が現れた。大人はかがまないとは入れなさそう。

「では行きましょう」

「はい」

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