…いたたた…。
「…っは、授業!!…あれ、」
白い。そんな言葉が口に出た。本当に白い…なんだろう、頭が痛いのにこの落ち着いた気持ちは。この場所が学校じゃなくて安心したからなのか、この空間が心地いいからなのか…いや、まずここは何処なの?病院か何かかな?私、さっきまで学校の運動場にいたはずなんだけど…いや夢、見てたのかな。今私はふかふかのベットの上にいる。保健室のベットとは雲泥の差があるし、何より見たことないほどに真っ白だ。まぶしくて目が痛くなりそうなほどの白さなのに、疲れた頭をいやしてくれるような不思議な色。
4畳ほどだろうか、ベッド以外には何もない。電気も窓もないのに明るい室内。本当に、これ以外何もない。
「えっ扉?さっきまで何にもなかったのに、」
扉があればどこかに出られるかも、と思ったとたんに目の前の壁に扉が現れた。そしてこれもまた真っ白だ。その扉に徐々に浮き出たA4サイズほどの張り紙の内容を読んでみる。
『おめざめになられましたら、こちらのとびらからでてかいだんをおりてきてください。』
なんだか、小学校1年生へ向けて書かれた内容みたいに平仮名ばっかりだ。そう思うのは職業病なのか…その文字に従うほかないので、僅かに浮き出た扉の取っ手をとり、押してみる。
「…開いた、」
扉の向こうにはずっと白い空間にいて慣れていたはずの目が眩むほどにまぶしい光があった。そして螺旋階段のように曲がった階段も。10段ほどの階段を降りると再び同じような扉が見えた。そして何故かその奥にもう一つ、今度は色の付いた扉が出て来た。
「…そうですね、はい。なのであと数時間もすればお目覚めになる予定となっておりますので、そのままお待ちいただいて大丈夫です」
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