第15話 新たな試練

冒険が続く中、カズマとめぐみんは再び危険なダンジョンへと足を踏み入れていた。周囲には暗く湿った空気が漂い、足元には不気味な音が響く。めぐみんはすぐに爆裂魔法の準備を始め、カズマも気を引き締めて周囲を警戒している。


「カズマ、あの魔物が近づいてきてますね!」


めぐみんが指差す先には、大きな足音を立てながら迫ってくるモンスターが見える。その姿は、まるで地面を揺らすかのように重く、恐ろしいほどの威圧感を放っていた。


「くっ……お前、またすぐにエクスプロージョンを使おうとするだろ?」


「もちろん! 爆裂魔法こそが私の真骨頂ですから! この魔物、一気に吹き飛ばしてやります!」


カズマはめぐみんの背中を見ながら、少しだけため息をついた。


「わかった。でも、お前が魔法を撃ったら、俺が先に行ってその後のケアをするからな。できるだけ、俺が後ろからカバーするから」


「わかっています! カズマ、お願いしま――」


その時、魔物が一気に間合いを詰めてきた。まさに、次の瞬間、爆裂魔法が放たれるだろう。しかし、カズマはすぐに足を動かし、めぐみんの前に立ちふさがった。


「カズマ?」


「逃げろ!」


カズマは叫びながら、めぐみんを引き寄せてそのまま後ろに引っ張る。魔物の爪がギリギリで二人を引き裂くように迫ったが、カズマはなんとか間一髪で回避した。


「お前、どこに行ってたんだよ!」


「私……もうすぐだったのに! エクスプロージョン!」


めぐみんが言う間もなく、カズマはすぐに立ち上がり、魔物に向かって一撃を繰り出した。見事な手際で、魔物は大きく後ろに倒れ込む。


「おい、ちゃんと確認しろよ。勝手に魔法使うな!」


めぐみんは、少し困った顔をしてカズマを見上げる。


「でも、カズマが私をかばってくれたから、無事だったんです。本当にありがとうございます」


カズマは照れくさそうに笑った。


「別に、当たり前のことだろ。俺が守らなきゃ、誰が守るってんだよ」


めぐみんはその言葉に胸を打たれ、少しうつむいた。


「カズマ……あなたがいてくれるから、私はここまで来られたんだなって。こんなに頼れる人がいるなんて、嬉しいです」


その言葉に、カズマはちょっと照れて顔を赤くしながら答える。


「お前、そういうのは急に言うなよ、恥ずかしいだろ」


めぐみんはにっこりと笑い、少し間をおいてからカズマに向かって言った。


「でも、私、もっとカズマの役に立ちたい。だから、これからも一緒に頑張りましょうね!」


カズマはその言葉に少し考え込んだ後、頷いた。


「ああ、もちろんだ。お前がどんなに強くなっても、俺はお前のそばにいるから」


めぐみんはその言葉に嬉しそうに微笑み、二人は一緒にダンジョンを進み続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る