第14話 小さな一歩、大きな変化
翌日の昼、カズマとめぐみんは、再び宿屋の近くに足を運んでいた。めぐみんはあの日の練習の結果を思い返しながら、少し照れくさそうにカズマを見つめている。
「カズマ、昨日は本当にありがとうございました!」
カズマは苦笑しながら答える。
「別に、俺がやったのはただの付き合いだろう? お前が本気で挑戦してきたんだから、俺も本気で受け止めただけだ」
めぐみんは、カズマの言葉に嬉しそうに笑顔を浮かべた。その笑顔が、どこか照れくさそうで、でも少し自信に満ちているように見えた。
「でも、昨日の練習を経て、少し自分に自信が持てた気がします。カズマがいてくれたから、私はここまで来られたんです!」
カズマは少し驚いた様子で、めぐみんを見つめる。
「お前……そんなに変わったか?」
「うん! 以前より少しだけど、頼りにされるような存在になりたいって思ってます。カズマを悩ませるようなことをしないように、もっと強くなりたいです!」
その言葉に、カズマは真剣に頷いた。
「俺が悩むことなんてないさ。むしろ、めぐみんがそうやって成長していく姿を見てる方が、俺は嬉しいよ」
その瞬間、めぐみんは少し考え込み、そして静かに言った。
「カズマ、私がもっと強くなったら……どう思いますか?」
その質問には、カズマも少し戸惑った。
それでも、彼はしっかりと答えた。
「どうって、どうでもいいよ。お前が強くなることに意味があるんだ。俺はお前が無理しないで、少しずつでも成長するのを応援するだけさ」
「……無理しないで?」
めぐみんはその言葉に少し驚き、そして少し顔を赤らめた。
「ええ、カズマは私が無理してでも強くなろうとしてるって心配してるんですね?」
カズマは焦った様子で頭をかきながら答える。
「いや、そんなつもりじゃ……ただ、お前が急に無理して大きなことをしようとすると、俺も不安になるんだよ」
「カズマ……ありがとうございます!」
その言葉に、めぐみんは顔をほころばせながら、少しだけカズマに近づいた。
「私、少しずつ、あなたに頼ることができるようになりたいんです。でも、それはまだ少し先の話……今は、カズマに頼らずに、どこまでできるか挑戦してみます!」
「そうか。お前がそれだけ強くなりたいって思ってるんなら、俺は何も言うことはないけどな。でも、無理だけはするなよ」
カズマの言葉に、めぐみんは嬉しそうに笑った。
「はい、わかりました! これからも、カズマのためにも、自分のためにも頑張ります!」
その後、ふたりは再び冒険に出る準備を整えた。めぐみんは、カズマと一緒にいることがますます楽しく、心強く感じるようになった。彼女の心の中で、カズマへの思いが少しずつ深まっていくのを感じながら、次の冒険に挑んでいった。
そして、カズマはその背中を見送りながら、彼女の成長を応援する気持ちを強く抱いていた。
これからも、ふたりで共に歩んでいく道は続いていく。
それは、小さな一歩かもしれない。でも、その一歩が、確実に大きな変化をもたらしていることを、カズマは感じていた。
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